著者 : 岡本好貴
警察署に届いた電報には、 被害者だけでなく別の名前が記されていたーー ヴィクトリア朝の女性電信士、 技術と知識で姿なき殺人者を追う 黄金期の英国本格の香気溢れる第33回鮎川賞受賞第一作 ヴィクトリア朝大英帝国の巨大情報網の核となった電信事業。それを担う一員である電信士のローラ・テンパートンは、仕事と家庭を持つという夢の間で悩む日々を送っていた。 ある晩、彼女は電信局を訪れた局長アクトンの甥ネイト・ホーキンスを案内するが、アクトンは密室と化した局長室で死体となって発見された。容疑者と目されたネイトの無実を確信したローラは、自らの職能を活かして調査に乗り出す。翌日、警察署には謎めいた電報が届くが、そこには被害者アクトンともう一つ別の名が記されており……。 本格ミステリならではの趣向を随所に凝らした第33回鮎川哲也賞受賞第一作。
【第33回鮎川哲也賞受賞作】 辻真先 終盤で明らかとなるこの物語ならではの、 トリックにも感じ入った 東川篤哉 この舞台でのみ可能なトリックがあって大いに関心した 麻耶雄嵩 敵艦との交戦などストーリー的に盛り上げるべきところは 盛り上げ、しかもきちんとトリックに関与している。 正賞受賞にふさわしい 海上を征く巨大な“密室”で相次ぐ人知を超えた不可能犯罪 【第33回鮎川哲也賞受賞作】十八世紀末、フランスと交戦状態にある英国海軍は常に兵士不足だった。強制徴募された若者たちを乗せ、戦列艦ハルバート号は北海を目指すが、新月の夜に衆人環視下で水兵が何者かに殺害される事件を切っ掛けに、続けて不可解な殺人が発生。逃げ場のない船の中で、誰が、なぜ、そしてどうやって殺したのか? フランス軍との苛烈な戦いのさなか、軍艦という巨大な密室で相次ぐ不可能犯罪を描く第33回鮎川哲也賞受賞作。