著者 : 岡田秀文
一日1錠、採血8回。13日間、三食保証いたします。…ただし、決して誰も信じないでください。隔離生活を襲う得体の知れない事件の数々。治験が終わるまで島から出ることは許されない。狙われているのは被験者か病院か、それともこの島かー
幕府軍として新政府に最後まで抵抗した元旗本の中野梧一。維新後、その才能を井上馨に買われた中野は山口県令に抜擢され、かつての仇敵・長州へと赴く。その中野の命を農民出身の元奇兵隊士・卓介が狙うが…。政治の世界から実業界に飛び込み大成功をおさめた中野梧一を通して、維新後の新しい世の中に翻弄される男たちの姿を描いた歴史ミステリー。
大正時代、警視庁に「華族捜査局」が新設された。記念すべき初捜査、公爵で局長の周防院円香と、警部補の来見甲士郎は、九鬼梨伯爵家で起きた毒殺事件に取りかかる。動機は家督相続権争いと思われた矢先、円香たちの目の前には、第二の犠牲者の「生首」が現れ、鎌倉時代から語り継がれる九鬼梨家の「首なし村の呪い」が明らかにー。連続殺人犯の真の目的、そして決して暴いてはならならなかった“一族の秘密”とは…。
国民服を着た、丸刈りの女の死体。なぜ男装していたのか、殺害現場はどこなのか、そしてこの女は何者なのか。一切が五里霧中のまま、同じ方法で殺害された別の死体が発見された…。一九四四年、戦争のため五名にまで人員を削減された警視庁特別捜査隊は、特高や軍、果ては空襲に邪魔されながら、真実を求めて懸命に捜査を続ける。特捜隊隊長、仙石が最後に目の当たりにした異形の真相とは?実力派が贈る戦時下警察小説の傑作、登場。
泣く子も黙る東京帝大に、一風変わった講座が開講された。実際に起きた未解決事件を題材に、実地の推理を繰り広げる趣向だという。担当教官は、有名事件を次々と解決に導いた探偵・月輪龍太郎。集まったのは個性的な三人の学生たち。初々しい探偵の卵らは、四つの難事件を解くことができるか?明治期の帝都東京を舞台にした、奇妙にしてスリリングな推理合戦。
天下の覇者・豊臣秀吉が死去したことにより起きた豊臣家の内紛。秀吉の恩に報いるべしと立ちあがる石田三成と、満を持して天下統一へと動きだす徳川家康。世に名高い関ヶ原の戦を、秀吉の正室、寧々の視点を交えて描く圧巻の戦記。
日本ミステリー文学大賞新人賞が誕生してから二〇年。幅広く活躍を続ける受賞作家から、大石直紀、岡田秀文、新井政彦、望月諒子、嶺里俊介の五名が「街」をテーマに競作。普段、ぼんやりと見えている風景、行き交う人たちの何気ない行動…その中に数々の謎が潜んでいる。五つの味わい深い短編を収録した、珠玉のアンソロジー第一弾!
杉山潤之助の上海出張に、新婚旅行へ出向くという旧知の探偵・月輪龍太郎が同道することになった。彼らの乗る豪華客船・海妖丸が出発する直前の横浜港で、船客の政商らに宛てて奇妙な予告状が届く。絢爛な船旅の途上、仮面舞踏会や沙翁劇の最中に起こる殺人、そしてまた殺人。息を潜める犯人を見つけ出せるか。本格ミステリの醍醐味を堪能できる、傑作推理小説。
昭和十一年、夏。死体が発見されるたびに、なぜか刺し傷の数がひとつずつ減ってゆく。殺された男たちのあいだに交友関係などは一切見つからず、共通しているのは全員が多額の借金を背負っていたことのみ。警視庁特別捜査隊は奇妙な連続刺殺事件の謎を追い、帝都全体に捜査の網を広げてゆくがー。捜査隊隊長が目の当たりにした、事件の異様な構図とは?
明治二十六年、杉山潤之助は、旧知の月輪龍太郎が始めた探偵事務所を訪れる。現れた魚住という依頼人は、山縣有朋の影の側近と噂される大物・漆原安之丞が、首のない死体で発見されたことを語った。事件現場の大邸宅・黒龍荘に赴いた二人を待ち受けていたのは、不気味なわらべ唄になぞらえられた陰惨な連続殺人だったー。ミステリ界の話題を攫った傑作推理小説。
銀座で探偵事務所“月輪萬相談所”を営む月輪龍太郎は、ひょんなことから東京帝大で犯罪捜査学講座を受け持つことに。受講生はわずか三人。真面目で気弱な原口孝介、裁判官を目指す肥崎春彦、政治家志望の松坂栄次郎。月輪は教科書などは使わず、実際に起きている未解決事件の現場に臨んで講義をするという。第一の講義は、高楼閣で突如失踪した出資者が、近くの酒蔵で遺体となって見付かった事件ー明治の世に起こった四つの奇怪な事件に、帝大生と月輪の推理合戦が白熱する!『黒龍荘の惨劇』で話題をさらった“名探偵月輪シリーズ”、スピンオフ短編集。
上杉謙信、織田信光、浅井長政、柴田勝家…。彼らは、戦国の覇者・織田信長をどう見ていたのか。嫉妬・焦燥・矜持・疑心。様々な心情が渦巻く中で、戦国の世を生きる者たちは強大な影に溺め捕られていく。-これまで多くの作家が描いてきた信長の実像を、新たな手法で描く挑戦的戦国期。
凄惨な黒龍荘事件から一年、役所勤めの杉山は上海出張を命じられる。一方「月輪萬相談所」で探偵業を営む月輪とその助手・氷川蘭子は結婚し、偶然にも杉山と同じ豪華客船「海妖丸」で新婚旅行に向かうという。出港当日、横浜港の待合室では、伯爵夫人、貿易商、富豪など多士済々な乗客たちが揃う中、「上海行ハ汝ラノ死出ノ旅路トナラン」との不吉な予告状が届く。不穏な空気を纏いながら海妖丸は出港するが、その夜、仮面舞踏会の直後に殺人事件が起こる!船内には宝石泥棒も紛れ込み、更なる事件がー!!名探偵月輪シリーズ、待望の第3弾!
明治十七年、伊藤博文邸の新入り書生となった杉山潤之助の手記を、小説家の「私」は偶然手に入れた。そこに書かれていたのは、邸を襲った、恐るべき密室殺人事件の顛末だった。奇妙な住人たちに、伊藤公のスキャンダル。不穏な邸の空気に戸惑いつつも、潤之助は相部屋の書生・月輪龍太郎とともに推理を繰り広げる。堂々たる本格ミステリの傑作、シリーズ第一弾!
時は室町。足利幕府の体制は、大名家の権力争いで大きく揺らいでいた。八代将軍義政は、弟の義尋を次期将軍に指名するが、義政の妻・富子に長男が誕生し、後継者問題が勃発。有力大名を巻き込み、武力抗争へと発展する。敵と味方が相乱れ、京の町を焼き尽くした「応仁の乱」。十一年続いた乱の真相を、義政、富子など、当時の重要人物の視点でスリリングに描く。
天下統一目前で本能寺に斃れた織田信長。そのあとを継ぐべく羽柴秀吉は山崎で明智光秀を討ち、清須会議で柴田勝家をいったん退ける。だが、信長の筆頭家老にして北陸の王者・勝家は黙っていなかった。秀吉と勝家。織田家中の勢力争いはやがて、天下の行方を決める抗争に発展していく。腹の探り合いに疑心暗鬼。ギリギリと息の詰まる心理戦に、大きな決断を要する決戦が迫る。各地・各地位の戦国武将たちが命をかけて挑んだ大合戦を、広い視点で描く戦国歴史群像。待望の文庫化!
山縣有朋の別邸・黒龍荘に、山縣の影の金庫番・漆原安之丞に対して恨みを晴らす、という脅迫文が届き、数日後、漆原は謎の死をとげた。調査依頼を受けた「月輪萬相談所」の探偵・月輪は、かつて伊藤博文邸でともに書生として過ごした杉山を連れて黒龍荘に住み込むことに。広大なお邸には四人の妾を含む住人七人と使用人たちが暮らしていたが、警察と月輪たちの監視をあざ笑うかのごとく、彼らは次々と遺体となって発見されていくー史上屈指の残虐事件の裏には、国家をも揺るがしかねないおそるべき謀略があった!!