著者 : 岡部えつ
16人の証言から浮かび上がる女の正体。彼女は悪女or聖女?本当のことを言っているのは誰?誰が被害者で、誰が加害者?あなた…一体、誰…?なぜ私について嗅ぎまわっているの…?読めば読むほど謎が深まる著者渾身のミステリー。
中屋紗衣は、都内近郊に暮らすパート勤めの主婦。ある日、紗衣が夫に内緒で購入した美顔器が、別の住所宛の荷物と入れ替わって届いてしまう。その誤配達を企んだのは、夫の愛人・夏希。夏希はSNS上で誤配達に困っている紗衣を発見し、身元を隠して交流を深めていく。SNS上で距離を縮めていく二人、変わりゆく夫婦関係…。予測不可能、衝撃展開のサスペンス。
緑川千春は広告代理店のデザイナーとして働く37歳。人手不足による残業、配慮のない上司たちに限界を感じ、なかば衝動的に会社を辞めることに。しかし、待っていたのは想像以上に厳しい現実だった。そんな千春を癒やしてくれたのは、音信不通のまま関係が途切れたかつての恋人が教えてくれた近所にある日本酒バー『drop』。マスターや、店で出会った人々との交流によって千春の人生は少しずつ変化していきー。人生の岐路に立つ女性の姿を丹念に描いた長編小説。
男を初めて部屋に上げるときは、かなりの勇気がいる。もしこの男に、見えてしまったら。もうすぐ40歳の真千子の部屋には、かつての恋人の骸骨が立っている。暗闇の中、知り合ったばかりの男の愛撫に感じたのは…(「枯骨の恋」)。職場のパワハラで自殺した同僚。実家を訪れた千穂が知った、若い死者に対する奇妙な風習とは(「アブレバチ」)。第3回『幽』怪談文学賞受賞作が待望の文庫化。女たちの怖くてエロティックで美しい物語。
大手食品メーカーに勤める由加利は、研究医で優しい恋人・桔平と同棲5年目を迎えていた。ある日、桔平が倒れて意識不明になると、彼の職業はおろか名前すら、すべてが偽りのものだったことが判明する。「あなたはいったい誰?」由加利は唯一の手がかりとなる桔平の書きかけの小説を携え、彼の正体を探る旅に出る。彼はなぜ素性を隠し、彼女を騙していたのか。すべてを失った果てに知る真実の愛とはー。もうひとつのラストに涙する、小説版「嘘愛」。
一度のミスが命取り。発言には細心の注意を払い、自分の居場所を確保するのに汲々とするーこれは小学校児童の話である。優等生の相原真帆は、良かれと思って取り組んだことが、まさかの結果となり、一気に侮蔑の対象へと転落する。周囲に踏みつけにされるつらい日々に、真帆は転校するしかなくなってしまう。新たなクラスでも“階級”の中でもがく真帆。勇気を奮って彼女が選び取ったポジションとは…。「傍観者」の罪もあぶり出す、問題作にして著者渾身の一作。
西田りかは、上司の柏木荘太に惹かれ、不倫関係になった。それを知った荘太の妻、美津子はりかに接近し、見合い話を持ちかける。相手に選んだのは一人娘の美羽が兄と慕い、家族ぐるみのつき合いをしている落合圭一だったが、思惑は一人歩きを始め、それぞれの思いは変化し、その先には予想もしない展開がー。愛憎、嫉妬、プライド。女たちの内面を艶やかにリアルに描く、傑作情愛群像。