著者 : 平井和正
それは人体に寄生し、人間を狂暴な怪物へと変えてしまう。この宇宙からの敵に対抗すべく、全世界から選び抜かれ鍛え上げられた殺しの専門家たち、それが国際秘密機関“ゾンビー・ハンター”だった。大事故から奇跡的に回復した天才レーサーの田村俊夫は、再起に必要な大金と引き換えに、この秘密組織に身を投じる。任務はただひとつ、ゾンビーに寄生された人間を暗殺することだったが…。“ウルフガイ”『幻魔大戦』と並ぶ代表作の合本版。
現代日本SF第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズ。第4弾は“ウルフガイ”『幻魔大戦』で知られる平井和正。デビュー作「レオノーラ」、「死を蒔く女」「虎は目覚める」「転生」など、人間の残虐性と暴力性を抉り、暗い情念あふれる初期中短篇10篇を第一部に収録。第二部は、黒人サイボーグの誇りと哀しみを描くSFハードボイルド長篇『サイボーグ・ブルース』、付録として『デスハンター』のエピローグを特別収録
“悪徳学園”と称される東京の一私立中学校に、ある日転校してきた奇妙な少年ー驚くべき強靱な肉体を持ちながらも、どこか暗い虚無の影を宿した彼、犬神明の行くところ、次々と怪異な事件がまき起こる。学園に巣食う、悪辣きわまりなき非行少年たちとの凄惨な対決!だが、ナイフで刺され、拳銃に撃たれようとも“死”を知らぬ彼の正体に、女教師の青鹿晶子は魅せられていくが…伝説のベストセラー“ウルフガイ”第1弾。
犬神明は生きている!?狼人間の“不死”の秘密をわがものにせんと、アメリカCIA対中国情報部“虎部隊”の、熾烈凄惨な国際諜報戦の幕が切って落とされる。渡米した青鹿晶子は敵の罠に落ちて何処かへ連れ去られ、犬神明は狂気の鬼と化したサディスト医者の前にすべての記憶を喪失する。そしてもう一人の狼男、神明の血まみれの活躍は、今や全世界に黒い魔手を伸ばした恐るべき大陰謀の正体を暴いていく。“ウルフガイ”第2弾。
ついに“その時”がやってきた。関東全域に鬼畜の悪名を轟かせた伝説の暴走族MAD BUGが甦ったのだ。崩壊していく世界の中で、突如訪れた高熱に苦しみながら、神様・大土円は世界の修復を目指す。しかし気まぐれなフォースのコントロールは思うにまかせず、蛍を喪う最悪の結果を呼び寄せてしまった。世界を産みだす若き神々の瑞々しい恋を描いた渾身のマジカル・ラヴストーリー、ついに完結。
黒衣の貴婦人・ステラさんのフォースの助けを借りて、大上円はついにこの世界の謎を次々に解き明かしていく。神様・円くんの目から見た世界の構造はいかなるものか“ウィンドウズ”に秘められた世界の真実とは。壊れていく世界の中に、“ファミリー”を離れてただ一人残った大上円は、愛する女性たちと共に新しいファミリーを作り上げる。新たな世界を産み出す“フォース”を発動する日は近い。
信州追分への旅行以来、なぜか円くんを避けている小雪ちゃん。大上円は、そんな彼女を訪ね、その鬱屈の意外な正体を知る。一方、ホタルは遺産相続問題で家を引き払うことになり、円くんとの“同居”を決意。小雪や伊福部らも加わって、“ユニー・ファミリー”が誕生しようとしていた。しかし、ホタルをつけ狙う敵の脅威はいよいよ間近に迫り、別離の予感が日一日とふくれあがる…大上円はホタルを守りきることができるのだろうか。
家出して押しかけてきた不良少女コスギの面倒を見るうちに、大上円は彼女の健気さにうたれ、強い憐憫を覚えていく。けれど憐憫とは愛情と勘違いしやすいものなのであって…おまけに、るり子サンの部屋を訪れた円くんは、あまりに官能的な事態に出会ってしまうのだった。「あたし、挫けないよ。10回でも20回でもやり直すから」ホタルの台詞は強力なフォースを発揮し。ボヘミアン・円くんの放浪はまだまだ続く。
今日は小雪ちゃんとのデートの日だ。ルージュの唇もなまめかしい小雪ちゃんはとっても魅力的で、円くんは思わずホテルのカクテルラウンジに誘ってしまう。そして現われた、魂を奪う絶世の美女“黒衣の貴婦人”とは…。円くんの周囲にはあまりにも奇妙な現象が頻発し、物語はいよいよ佳境に入っていく。大上円を執拗につけ狙う見えない敵対フォース…ますます深まる謎の中で、ホタルとの恋はどこへ行くのか。
円くん、ホタル、小雪とのマジカルラヴのトライアングルに、伊福部晶子まで加わってしまった。その伊福部まで“発熱少女”のメンバー入りするありさまで。円くんに想いを寄せる少女だけに“伝染”する異常な発熱現象は、いったい何を意味するのだろうか。ますますもつれるマルチアングル・ラヴにからめとられてしまった円くんは、ホタルへの想いもハングアップのまま、ついにはホタルの抱える秘密まで知ってしまったのだ。
大上円の家族は、特異能力の持ち主ぞろいの神様ファミリー。その能力ゆえに、転居を繰り返す。“逃亡者一家”なのだ。ある日、円くんは親父から、警告を受けた。百合川蛍との恋は、この世界にヒズミを生むというのだ。そして、密かに忍び寄る謎の“敵”の予感が。美しく高貴で壊れやすいボヘミアンガラスと、25歳で夭折した詩人・立原道造の美しくも悲しい世界…破滅と同居した鮮烈な恋の行方は。
主人公・大上円は、29日周期で42度の高熱を発する特異体質の持ち主。新都心・東京ウィング・シティに引っ越してきた途端、暴走族に襲われている美少女を救う。それが、探し求めていた少女・百合川蛍との出会いであり、“世界の変化”の始まりだった。美しく高貴で、壊れてしまいそうなボヘミアンガラスにも似た、世紀末の恋の行く手には何が待つのか。