著者 : 広瀬未衣
「世界で一つ、大切な時計をお作りします」-親の転勤で京都に引っ越してきた高校生の江野崎菜奈は、祇園の白川通りで一軒の時計屋を見つけた。レトロな時計がところ狭しと並ぶ「白川時計屋」の時計師・白川幸也は、街に不慣れな菜奈を何かと気にかけてくれる。ある日、菜奈は目の前で起きた事故をきっかけに、幸也に特殊な能力があることを知るー「大丈夫、大切なことは“時間屋さん”が教えてくれる」…時を操る力を持つ“時間屋”をめぐる、奇跡の物語。
僕は春が嫌いだ。春になると、僕の前からサッカーボールや自転車が突然消えて、みんなに気味悪がられてきたー大学2年生の春休み、叔父の和菓子屋でバイトをするために京都を訪れた僕は、気を失ったところを一人の女性に助けられた。僕は彼女に惹かれた。春が終わっても会いたい、と思った。でも、彼女は桜の木の下で…消えた。彼女は、何のために僕の前に現れたのかーその結末に涙が止まらない。
ひとつきに二度、満月が見られるブルームーンの7月。結婚を控え、数年ぶりに京都に帰った灯里は、自宅で高校2年の祇園祭で作った小さな提灯を見つけた。そこには薄らと“コウ”と書かれた跡があったが、灯里はコウのことを思い出せない。17歳の7月に、忘れてはならない何かがあったのか?灯里は青い月に導かれるように、祇園の街に足を踏み入れる。そこには、たしかにコウがいた…「もしこちらの世界にもう一人の僕がいたら、必ず君を見つけるよ」宇宙の神秘に隠された奇跡を描いた物語。
ひとつきに二度、満月が見られるブルームーンの8月。17歳の僕は京都の嵐山にある祖母の家に帰省した。一度目の満月の夜、僕は森の中で、傘で泉の水をすくう少女と出会う。「ブルームーンが終わるまで、ここで初恋の人を待っている」と言う彼女。同い年なのにどこか不思議な彼女や、彼女と歩いた夜の京都に違和感を覚えながらも、僕は彼女に惹かれていくがー「ずっと君を、未来で待っている」運命の糸で結ばれた2人を描く、時空を超えた恋愛小説。