著者 : 廣嶋玲子
果てしなく広がる大砂漠には、はるかな昔から数々の国や都が生まれては、やがて砂にのみこまれて忘れさられていった。そのなかで決して忘れられることのない都がひとつだけある。砂漠にありながら青い水が尽きることなくあふれた都。人間にはない力を持ち、美しくも恐ろしい姿をした魔族が造った奇跡の都ナルマーンだ。魔族の王“青の王”のたどる数奇な運命を軸に、ナルマーンにまつわる不思議な物語を連作方式でまとめた珠玉の短編集。アラビアンナイト風の世界を舞台にした、大人気のファンタジイ『青の王』『白の王』『赤の王』続編。
銀獣とは、石の卵から生まれる半人半獣の存在。富豪が屋敷に集めた五人の男女に言い渡したのは、一年後にもっとも優れた銀獣を連れてきた者に財産を譲るという条件だった…「銀獣の集い」。故郷で罪を犯したヨキは、孤島の灯台守として五年を過ごすことになるが…「咎人の灯台」。黄金館で母親と暮らすキア。だが、幸せな暮らしには秘密があった…「茨館の子供達」。“ふしぎ駄菓子屋銭天堂”シリーズ、“妖怪の子預かります”シリーズで大人気の著者による、美しくてちょっぴり怖い三つの物語を収録した短編集。
大砂漠の民の血を引くマハーン。炎を操る不思議な力をもつシャン。孤独な二人の少年は、固い友情で結ばれていた。だが、凶王サルジーンに蹂躙された砂漠の都ナルマーンにおける正当な王の復活を目指す男たちとの出会いが、二人の運命を変えた。マハーンこそが、ナルマーンの正当な王家の末裔だというのだ。そのときからマハーンは王となるべく、そしてシャンは王に仕える魔法使いとなるべく、厳しい修行の日々が始まった。果たして少年たちは、凶王を討ち果たすことができるのか?『青の王』『白の王』に続くナルマーン年代記第三弾。
危ういところを助かったものの、体力が戻らない弥助を心配した玉雪は、弥助に食べさせる雪を探すうち、鈴白山に棲む冬のあやかし、細雪丸の歌声を聞く…「玉雪の子守唄」。初音姫の出産を前に、祝いの品を贈ろうと奔走するあやかしたち。津弓が、右京と左京が、王蜜の君が、そして弥助が考えた末に選んだ贈り物とは…「祝いの品」。全六編を収録した、大人気シリーズ第九弾。
「おまえの愛しいその子を奪ってやる」脱獄した女妖がそう告げて姿を消して以来、弥助は養い親である千弥の過保護ぶりに息が詰まりそうだった。命が狙われているのだ、弥助だって怖い。だが、怯えて暮らすのはいやだ。普通の暮らし、妖怪の子預かり屋もやりたい。結界が張られた長屋から出ないことを条件に、千弥もしぶしぶ弥助の願いを聞き入れたが…。大人気シリーズ第八弾。
妖怪奉行所では烏天狗一族がお役目を一手に引き受けていた。飛黒はその筆頭で、奉行の月夜公の右腕だ。ある日飛黒が双子の息子、右京と左京を奉行所に連れてきた。双子も将来はお役目につく身、今のうちに見学させておこうというわけだ。大忙しの奉行所、だがその陰で月夜公の甥の津弓、妖怪の子預かり屋の弥助を巻き込むとんでもない事件が進行していた。大人気シリーズ第七弾。
廃墟の塔が林立する“塔の森”。孤児たちは、塔に棲む魔鳥が盗んできた物を集めて暮らしていた。あるとき彼らのもとに、魔鳥に盗まれた宝石を取り戻してほしいという男タスランがやってくる。孤児のひとりアイシャが宝石を見つけたものの魔鳥に襲われ塔から墜落、気がついた時には宝石は彼女の胸にはまっていた。宝石をえぐり取ることもできず、アイシャはタスランに連れられて旅に出ることに…。『青の王』の世界を舞台にした、好評シリーズ第二弾。
妖猫族の姫である王蜜の君が、太鼓長屋の弥助のところに居候することになった。弥助べったりの千弥がいい顔をするはずはなく、力の弱い玉雪に至っては、弥助の家に近づけなくなる始末。そんな中、弥助の周辺で猫絡みの事件が頻発、子猫を狙う不気味な女まで出現し、猫の守り手たる王蜜の君は放っておけず、事件の裏を探り始める。今回は猫尽くし、お江戸妖怪ファンタジー第六弾。
梅雨の夜、太鼓長屋に養い親の千弥と住む弥助のもとに、客が訪ねてきた。化けいたちの宗鉄と名乗る男は、妖怪の子預かり屋の弥助に娘を預けたいという。母親が亡くなり、男手ひとつではどうにもならなくなったのだ。女の子の名はみお。お面をつけ、自分の殻に閉じこもってしまっていた。だが、弥助のもとに預けられる子妖怪と接するうちに変化が。お江戸妖怪ファンタジー第四弾。
砂漠に咲く奇跡の都ナルマーン。王宮の上空では翼をもつ魔族が飛び交い、豊かな水をたたえた池の中には魚や竜の姿をした魔族が泳ぐ。ナルマーンの王は神に選ばれ、魔族を操る力を授けられたのだ…。そんなナルマーンに住む孤児の少年ハルーンが出会ったのは、不思議な塔に閉じ込められたひとりの少女だった。ハルーンは、自分の名前も知らないというその謎めいた少女を助けて塔を脱出する。だが彼らのあとを、魔族が、そしてナルマーン軍が追いかけてきたのだ!
妖怪に花見に誘われた弥助と千弥。こっそりあとをつけた久蔵は…「春の巻」。屋敷に閉じ込めているせいで、ふてくされる甥の津弓をなぐさめようとした月夜公だったが…「夏の巻」。玉雪が栗山をもっている理由は?「秋の巻」。千弥と月夜公の過去の因縁の物語「冬の巻」。一般公募で選出された妖怪が登場する短編も収録。弥助と妖怪たちの心温まる交流を描く、人気シリーズ第三弾。
うぶめに気に入られ、正式に妖怪の子預かり屋の代理となった弥助。養い親の千弥の助けも借り、次々と持ちこまれる妖怪たちの問題を解決していく。そんな折、妖怪の子供達が行方不明になるという事件が発生。いなくなった子妖怪を捜しに浅草に行った弥助は、そこで同じ年頃の娘に出会った。少年と妖怪との交流を描いた、ちょっと怖くて心温まる、お江戸妖怪ファンタジー第二弾。
人と神とが共存する古代。額に目の刺青を持つ少女・伊予は、死んだ人の魂を黄泉に送ることができる「送り人」だ。平穏に暮らしていたある日、伊予は死んだ狼を蘇らせてしまう。「蘇り」は決して行ってはならない禁忌のわざ。それを美貌の覇王・猛日王に知られ、伊予は彼にその身を狙われることに。人型をとれる妖狼の闇真に助けられ、強くなろうとする伊予だが…。神に選ばれた少女の成長と絆を描く、傑作古代ファンタジー!!