著者 : 新美健
小普請組に属す小身武家の葛木家には、男の六ツ子がいる。みな莫迦である。妄想癖の逸朗、傾奇者の雉朗、剣を振り回す左武朗、死狂いを目指す不穏な刺朗、金儲けが大好きな呉朗、遊び人になりたい碌朗。悩んだ父親は宣言する。莫迦どもの中で一番ましな者に家督をゆずる。それ以外の五人は座敷牢に閉じ込める!慌てた六ツ子は我こそ跡継ぎにと主張し、突飛な行動に…呆れて笑いがとまらない、ろくでなし大騒動小説。
江戸時代、内藤新宿で一晩中営業する居酒屋〈夜中屋〉には、さまざまな人々が集う。ヤクザ者、同心、罪人……それを取り巻く女たち。そして店主にも暗い過去があった。実力派が描く、人情時代小説!
憲兵を殴って海軍を追い出され、満洲鉄道に飛ばされた元士官候補生・湊春雄。彼に与えられたミッションは「甘粕正彦を内偵せよ!」。大連駅から<あじあ号>に乗り込んだ春雄に、「君、尾けられているよ」と声をかけてきた気障な男、西風。正体不明の大陸浪人・西風によって春雄の運命は翻弄されていくーー。幻の理想郷・満洲国を舞台に、鉄道、映画、阿片、諜報、革命運動など、華やかな夢と権謀術数が渦巻くノンストップスパイ冒険活劇。
激動の幕末。南朝の皇子との噂がある美貌の剣鬼・椿は、新撰組や西郷吉之助から、倒幕の駒として狙われていた。そんな中、椿の元に遊女志望の女、早咲がやってくる。彼女は色気もなく芸事もできないが、抜群の剣の腕を持っていた。一方、“人斬り”の河上彦斎は、長州兵を攻め込ませるため二条城を燃やそうとしていた。椿と早咲はそれを阻止するため、現地へ向かうーー。 峰隆一郎の遺伝子を継ぐ幕末剣鬼伝、シリーズ第2弾!
幕末史の暗部、血塗られた暗殺事件の数々に、実力派作家7人が、想像力と推理を駆使して挑む、書き下ろし短篇競作企画。はたして定説は覆されるのか? 驚きの結末と真犯人とは? 【筆者とテーマ】 谷津矢車 ◆桜田門外の変 早見 俊 ◆塙忠宝暗殺 新美 健 ◆清河八郎暗殺 鈴木英治 ◆佐久間象山暗殺 誉田龍一 ◆坂本龍馬暗殺 秋山香乃 ◆油小路の変 神家正成 ◆孝明天皇毒殺
狂瀾怒涛の幕末。京都島原遊郭に育った美少年・椿は、生まれながらにして人を斬る術を心得ていた。ある日、椿は芹澤鴨という男と出会う。南朝の皇子を探す芹澤の存在が、椿の周囲を脅かしーー。