小夜子は切り口を指でなぞりながら、ゆっくり二つを合わせてみた。するとさんごは、互いの傷口を吸い寄せるかのように一分の隙もなく重なり、ひとつになってしまった(「血赤さんご」より)。7つの短編と、児童文学1編。