著者 : 月島真昼
姉が壊れた。姉が壊れた。
不意に訪ねた姉のアパートは、部屋の窓に目張りがされリビングの真ん中には七輪が置かれていた。姉はしどろもどろで言い繕うが、それは明らかに練炭自殺の準備であり、敦はそれを意図せず未然に防いだのだ。よく見ると自慢の美貌はくすみ自信に満ち溢れた生気は消え失せ、敦の知らない姉がそこにいた。姉は会社の上司からパワハラを受け、追い詰められていたのだった。--「第三回ステキブンゲイ大賞」審査員特別賞受賞作である表題作に加え、まるで仕方なく生きているかのように淡々と日常を過ごしていた男の前に、突然かつての想い人の娘が現れたことで起きた顛末を描いた書き下ろし作「どんどんキミに似ていく」を収録したデビュー作品集。 「姉が壊れた。」 「どんどんキミに似ていく」
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