著者 : 本庄慧一郎
御家人の次男と三男である松之介、竹之丞、梅太郎の三人は、生家で居候・穀潰しと冷遇される身だが、弱い者いじめをとことん嫌う気持ちのいい男たちだ。風俗取締りの御改革のせいで火の消えたような江戸の町。ある日、梅太郎は十六、七の娘を救う。娘は悪い男に狙われているという。男は妖怪・鳥居耀蔵の手先で、ご法度の抜け荷に手を染めていた。南蛮渡りの淫薬で若い娘を弄でぶ奸物に“松竹梅”は怒りの一閃を討つ。
武家のはみ出し者、松之介、竹之丞、梅太郎。御家人の次男・三男ゆえに、冷や飯食いと悪し様に言われる若者たちだが、世のため人のため、陰に回って働く義侠心を持っている。この“松竹梅”三人と、彼らが慕う浪人・天涯弥十郎が、私欲、私怨を欲しいままにのさばる時の権力者・鳥居耀蔵たちの追及から辛くも逃れ、身を隠した医師と助手、そして罠に堕ちた娘を救い出すべく、執拗な刺客に敢然と逆襲の刃を向ける!痛快時代小説第二弾。
霊験あらたかな秋葉権現のお札を求めて、大川を本所へと渡る舟が転覆した。凍てつく川から女や子どもを救ったのは、御家人の次男坊三男坊、松之介・竹之丞・梅太郎の三人組だった。生家では厄介者扱いされ、無頼と怠惰の日々を送っていた彼らだが、今は「どんなことでもいい、世のため人のためになることを気が向いたらやっておくれ」という緋扇屋秀五郎の寮で気ままに暮らしている。「松竹梅」の爽やか三人組の活躍を描く痛快新シリーズ。
世の邪悪に、容赦ない剣を振るう浪人・鬼怒玄三郎。理不尽な悪党を断罪する死斬人を裏稼業に持っていた。豪商・紀伊国屋文左衛門の影の用心棒を務める玄三郎は、幕府御用達を笠に着て、儲けた金で女を泣かし悪逆無道を繰り返す札差商・中内屋竜之助の始末を密かに依頼された。そして同時に、ふとした縁で繋がった女の窮状を救うことになる…。中内屋があぶく銭で雇った無頼漢や、闇の刺客人の凶刃を撥ね返し、玄三郎の剛剣が悪を斬撃する!好評シリーズ第3弾。
紀伊国屋文左衛門の影の用心棒を務める浪人・鬼怒玄三郎。師と仰ぐ佐貫炎十郎とともに、裏稼業の元締め・明石の文蔵が持ち込む標的を闇の裡に仕置きし、修羅場を潜り抜けてきた。奸智と策謀で俄成金となった材木商の奈良屋茂左衛門は、文左衛門を目の仇と狙い、目障りな玄三郎に次々と刺客を放ってくる。この茂左衛門同様、幕府御用の利権に係わって、しこたま儲けた役人と似非医者たち。悪遊びにうつつを抜かし、江戸の庶民をいたぶる悪党どもを、玄三郎の怒りの剣が斬る。
浅草田原町の庫裏で寺子屋を手伝う浪人・鬼怒玄三郎。彼には、法で裁けぬ悪党を密かに始末する裏の顔があった。女を食い物にする“玉ころがし”と呼ばれる男を誅殺したあと、奉行所同心の手下となり悪事を重ねる金十一家の者たちを次々と葬り去っていく。この玄三郎の手腕に、豪商・紀伊国屋文左衛門が用心棒を乞うてきた。交誼を深める二人だったが、玄三郎には思惑があった。文左衛門と張り合う成り上がり者で、姉を悶死させた材木商の奈良屋茂左衛門を狙っていたのだ。