著者 : 松本利昭
悟空の秀吉は、前田犬千代の猪八戒、河童忍びの沙悟浄、蜂蜘蛛党の小六と共に、松平竹千代(後の家康)に化けた七匹の豆狸妖怪を使い、今川の人質となる前に信長と密約を結ばせんと計る。めざすは天下布武の剣を揮っての似非仏殺、穢土破壊と希求浄土であった。曳馬城の希沙姫に憑いた猿掛神社の本尊キサル姫にぞっこん惚れられ悟空は再び五台山へ…。
秀吉が唐入りの大号令を発した年に明国で「西遊記」の初刻本が出版された。「これは余の前世を記した書物じゃ」と秀吉から家康に渡った初刻本は、今も日光山輪王寺に秘蔵されている。東海神州の一角、尾張の吉法師(信長)に転生した三蔵法師を慕った孫悟空は、童のひよしに憑り移り、ここに「悟空太閤記」の雄渾な物語が始まった。
「信長には何人も女がいたんだ」と言うと、ほとんどの人が、疑わしそうな顔をする。しかし信長には男女合わせて23人の子がいたのである。女性は、7人か8人かいたが、とりわけ愛し合った女性がいた。その女性吉乃が、産後の肥立ちが悪く29歳で死ぬと、信長が一晩中、泣き明かし、小牧山城の望楼から、墓の方角を望んでは涙ぐんでいた。
燦然と輝く黄金づくりの天冠を額につけた巴御前は、この国を一人でしろしめす院政という名の独裁政治を国民の大衆僉議による新しい国づくりに変えるべく、愛する義仲と共に都入りを果たしたが…。
「戦とは策なり。戦わずして勝つ事なり」-愛する木曽義仲の身を守る女武者巴御前は、海内無双の勇者であるだけでなく、常に策を巡らすことをも心掛けた。これは天下第一の美女、波瀾の合戦記である。
源平の昔、今より、八百年以上も前に、本邦随一の美貌の女武者が存在した。この本は、正室の座よりも愛一筋に生きようと共に戦場を駆けめぐった女性の、愛と武勇に生きた絢爛華麗な物語である。
密命を帯びた福は伊勢参宮と清水寺詣でにと上洛して禁中に参内。従三位春日局の称号を賜った福は、家光の幕閣作りに参画し、大奥では家光の男色を直して多くの側室を配し、徳川の天下を築いていく。波瀾万丈の完結編。
「狙いは本能寺にあり」-明智光秀の采配で、幼い福の運命は一変した。父の非業の死、一家の離散、激変する境遇の中、女が「天下を取る」には…。3代将軍家光の乳母として、大奥に威勢を振るった女の生涯を描く大作。