著者 : 松村進吉
「語られなければ信じる者も減り、信じられていなければ存在もできない」 かつて赤殿中と呼ばれた化け狸・丹吉は、エッチな悪事によって徳島市方上町にある弁天山の卑猥な形の岩に封じられた。暇をもてあます丹吉は、弁天山に通い詰める松浦とち子を通じて現代社会の見地を得る。ある日、神々の会合で馬鹿にされたプチ弁天は、悔しさを晴らすために丹吉の肉体を復活させ、神使〈候補〉として妖怪退治を命じた。だがこの時代にアクティブな活動をする妖怪はいない……。ひとまず受肉時に破けてしまった殿中を縫ってもらうため、とち子のもとに向かった丹吉とお目付け役の蛇はSOS を察知。セクハラ男からとち子を救うべく田舎道を疾走する。丹吉は無事に神使になれるのか、はたまた岩に逆戻りかーー。怪談実話のトップランナーが満を持して放つ、冒険活劇! 人間とは、神とは、妖怪とは、信仰とはーー。 真心と下心が錯綜する性悪狸の愉悦と煩悩! 其ノ一/其ノ二/其ノ三/其ノ四/其ノ五/其ノ六/其ノ七/其ノ八
「怪と幽」第3号は、妖怪ブームに沸く台湾を特集。 ●特集 妖怪天国 台湾 【インタビュー】何敬堯「台湾の妖怪と、妖怪ムーブメント」 【紀行】村上健司「旅行のついでに立ち寄りたい 台湾の妖怪伝説地」 【インタビュー】瀟湘神、NL、小波「臺北地方異聞工作室とは?」 【怪談実話】瀟湘神「山の中に潜む恐怖 現代台湾魔神仔実話」 【寄稿】伊藤龍平「台湾と日本の「妖怪」、くらべてみれば…… 概念の伝播、付与されるアイデンティティ」 【寄稿】林巧「アジアのなかの台湾のお化け」 【復刻】日影丈吉「騒ぐ屍体」 【寄稿】東雅夫「華麗島に魅せられた文豪たち」 【インタビュー】曲辰「台湾における妖怪/怪談文芸事情」 【紀行】「日本と台湾の妖怪文化を繋ぐ 溪頭松林町妖怪村レポート」 【エッセイ】池澤春菜、伊藤潤二、椎名誠、東山彰良「妖しき華麗島」 ●小説 京極夏彦、有栖川有栖、近藤史恵、乙一、松村進吉 ●漫画 諸星大二郎、高橋葉介、押切蓮介 ●論考/エッセイ 荒俣宏、小松和彦、東雅夫、多田克己&村上健司、加門七海(新連載) ●グラビア しきみ、芳賀日出男、佐藤健寿、台湾妖怪紳士録、国際日本文化研究センター新所蔵画図、怪食巡礼 ●怪談実話 三輪チサ、吉田悠軌、小田イ輔 ●お化け友の会ひろば インタビュー 安達寛高 映画『シライサン』 インタビュー ホセ・サナルディ『南米妖怪図鑑』 対談 諸星大二郎×佐藤健寿『世界伝奇行』 寄稿 本城達也『昭和・平成オカルト研究読本』 レポート 宮本幸枝「不思議な宿」 etc……
1つのクトゥルー作品をテーマに3人の作家が小説、ゲームブック、漫画などの様々な形で競作するオマージュ・アンソロジー・シリーズ。第6弾は『闇にささやくもの』に捧げる。巻末には原作冒頭の新訳(増田まもる)を掲載。