著者 : 桂歌蔵
廓に噺せば廓に噺せば
昭和十六年の横浜。五歳の少年・桧垣壽雄は、色街・真金町の廓『永代楼』の一人息子だった。壽雄は、廓を切り盛りする祖母いねに可愛がられ、何不自由なく暮らしていた。しかし、母のきくが突然家出すると、その寂しさから、壽雄は落語や漫才などのSP盤を聞くようになり、笑いに目覚めていくー直弟子が故・桂歌丸をモデルに描く、傑作長編小説。
よたんぼう(1)よたんぼう(1)
どこにも居場所がなかった少年時代、落語だけが心の拠りどころだった。単身上京し、芸の世界に飛び込んだおれを待ち受けていたのは、理不尽だらけの前座修行。兄弟子に反発し、ライバルと鎬を削り、かなわぬ恋に身を焦がし、才能の壁にぶち当たり…やがて師匠の元を飛び出したおれは、名を捨て、世を捨て、世界のどん詰まりまで流れ流れて、自分の生きる道をつかみ直すー。桂歌丸師匠の異端の弟子が、さすらいの噺家の“業”を描いた型破りな青春小説!
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