著者 : 桜井晴也
愛について僕たちが知らないすべてのこと愛について僕たちが知らないすべてのこと
『世界泥棒』から12年、すべての読者が待ち望んだ渾身の一作。 夏休みのある日、靴子・花びら・譲・隆春の 4 人は話をするため、学校で待ち合わせる。空には子供たちの魂が浮遊している。ときどき真っ青な鳥が飛んでいる。恋と友情に揺れる彼女たちの、いつも通りの日常のはずだった。しかし教室に着くやいなや、突然 4 人の兵士たちがやってきて、靴子たちを監禁してしまう。兵士たちはいったいどこからやってきたのか。なぜ、なんのためにやってきたのか。 小説を埋め尽くすのは、登場人物によって語られる物語の数々と、終わりの見えない長い対話。わかり合えない者たちが、それでもなお言葉を交わし合う特別な時間が、どこまでも詩的な文章で綴られる。 解説:大滝瓶太 ドストエフスキーの意思を正統に継ぎながら圧倒的“現代文学”。詩情と散文性をともに究めた文章に宿るリーダビリティの強度に驚き続ける、恐るべき経験。本書は日本文学における長編小説を一挙怒涛に更新する。 町屋良平(作家) 美しい幻のような言葉が、どうしてこれほど現実を剥きだしにするのだろう。陽に光り、腐り、滅びていく物たちーーその一部として人がいること。愛という言葉が包みこんできた、暴力のこと。ここには、嘘がない。 岡英里奈(作家・編集者) 著者のブログで発表された衝撃作、待望の書籍化。
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