著者 : 梓林太郎
長野県警松本署に奇妙な電話があった。知らない男が敷地にいたので声をかけたが一言も喋らないという。道原らが駆け付け、男の身元を調べたところ、七年前、市内の老人ホームで起きた現金窃盗事件の容疑者で元職員の滝谷文高であることが判明する。なぜ彼はそこにいたのか。謎が残ったまま滝谷を解放することになったがー。その数日後、道原は驚愕の連絡を受ける。横浜で起きた殺人事件の容疑者として滝谷が浮上、さらには行方不明だというのだ!横浜、新潟、仙台…逃亡者・滝谷を追う必死の捜査が始まった!
山根七海から息子で会社員の勇一郎の素行を調査してほしいとの依頼を受け、私立探偵・小仏太郎は尾行を進める。そこで勇一郎の交際相手・門島淡路の不審な行動に着目する。調査を進めたところ、彼女の祖母が轢ぎ逃げされた事件の犯人を突き止めようとしているらしい。轢き逃げしたのは東京と長野で暮らす兄弟のようだが、彼らには見過ごせない裏の顔があってー。
上高地の横尾山荘に宿泊中の女が失踪した。翌朝、同じ山荘近辺でテント泊をしていた男が刺殺体で発見される。二つの事件に関連性はあるのか?松本署の道原伝吉は複数の可能性を視野に入れ、捜査を開始する。その過程で、女の交際相手の許へ赴くが、直後に蒸発。時を同じくして、七里ヶ浜で事件の関係者が殺された。不気味に連なり続ける事件を食い止めるため、道原は江の島に向かうが…。
旅行作家茶屋次郎は、有名俳優の高浜から友人の桐谷沙希の行方捜しを依頼される。沙希の自宅には「あきらめない。ぜったいにやりとげる」という謎の挑戦状が投函されていた。桐谷家の実家を探ると、二十年前に祖父が殺人事件を起こしたことも判明する。だが、相模川で沙希の溺死体が発見され、鎌倉では桐谷家を狙った凶悪事件が相次いで発生。依頼人高浜の過去にも、女性トラブルなど、暗い事件が浮上する!怨みに満ちた事件の裏にある犯人の狙いとは?歴史と自然が調和する古都を舞台に、茶屋の推理が冴える!
観光で松本を訪れていた男が、泊まっている宿の名前も場所もわからないと、交番に保護された。自分の名前すら思い出せないという。その男に放火の容疑がかかった。市内の住宅街で白昼起こった火災現場近くの防犯カメラによく似た男が映っていたのだ。松本署・道原伝吉の捜査の結果、静岡市清水区に住む味川星之助と判明するが、味川は認知症を発症しており何も覚えていないという。やがて、日本平で味川の刺殺体が発見され、事件は予想外の展開を見せ始めた…。会心の書下し長篇旅情推理!
友人の結婚式のため名古屋へ向かった社長令嬢、岩倉真琴が行方不明となった。小仏は警視庁捜査一課の安間から調査を依頼されるが、やがて、女の声で「麻琴さんを預かっている」と電話が。誘拐犯は身代金三千万円を持ち京都へ向かうよう要求する。警察とともに京都に向かうが、金を奪取されたうえ犯人を取り逃してしまう。潜伏先の嵐山、化野、一乗寺まで追跡するが、事件の闇はいっそう深まりー。
その川は山間を白糸で縫うように南流し、太平洋へとそそぐ。日本三大急流の一つ、富士川である。茶屋次郎は「女性サンデー」の牧村と名川シリーズ取材のため、富士川流域に住む恩人の大工・釜石を訪ねる。すると娘の菜々緒にまつわる凶報を聞く。高校三年生の少女は、恋人がバイクに轢かれ命を落としたのだという。夕刻茶屋が、家を出た菜々緒の後を尾けると、新東名高速に架かる跨道橋上、身を乗り出した少女は橋下へ何かを投じる!直後、高速道から激しい衝突音が響き…。若き乙女が抱えた闇とは?
松本市内の空き屋から男の撲殺死体が発見された。被害者は市内で洋品店を経営する麻倉光信。登山に行くと言い残して車で出かけたという。ほどなく塩尻峠の近くで麻倉の車が発見されたが、後部座席には女の絞殺死体が!?一方、松本市内で詐欺事件を起こして富山刑務所に服役していた桜田竹利は模範囚として出所を目前にしながら逃走した。キャンプ場などから食料や衣類を盗みながら、松本を目指しているような痕跡が…。松本・塩尻・白骨温泉で交差した殺意の行方は?道原伝吉の活躍を描く書下し長篇推理。
山小屋の男の失踪の裏に十九年前の殺人事件が!?長野松本署からの調査依頼が小仏探偵事務所に持ち込まれた。上高地の山小屋の管理人・徳久が、宿泊予定の登山者の上野を探しに、外を見に行ったまま戻ってこないという。上野は偽名を使っており、二人の間に事件が起きた可能性もある。徳久の過去が関係していると考えた小仏は、彼の出身地である新潟県糸魚川市親不知へ。その後、彼の足跡をたどり、京都、東京、金沢と調査行を続けるが、親不知で起きた未解決事件が浮かび上がり…。
戦時中に負傷し記憶を失った少女・七恵は、指物職人の坪倉夫妻に引き取られた。六年後、縁談が舞い込むが、彼女に降りかかった不幸により破談となってしまう。さらに、坪倉が建て替えの仕事を請けた酒蔵で一人の男が殺される。凶事が続く中、七恵が出会う画家・古屋敷圭介。彼もまた、一連の事件に関わる身であったー。記憶の澱みに潜む真相が明かされた時、七恵は何を思う!?戦後間もない時代を背景に、小布施の町並みや縁の深い葛飾北斎の絵画、そして信州の峰々が織りなす謎に満ちた人間ドラマ。
静岡・大井川を遡上し、南アルプス聖岳を目指したカップルが遭難。旅行作家・茶屋次郎の知人の娘石浜波路は保護されたが、恋人の若松和重は遺体で発見される。若松は山行の途中、急に姿を消したという。だが、その死因は絞殺。所持品から、服用者が次々命を落とす危険薬物が見つかる。波路への嫌疑を晴らすため、“魔薬”の流通ルートを追う茶屋だったが、同じく事件を調査していた探偵・的場が刺殺されていたことを知る。緑柱石色の水面が輝く寸又峡、朱色の鉄橋渡る旧い蒸気機関車。絶景が彩る調査行が始まる。
小さな子供に何度も後をつけられ気持ち悪い、という通報が松本署にあった。道原伝吉が事情を聞いたところ、その子供は古谷智則五歳と判明。母親古谷未砂子との二人暮らしだが、母親は一週間以上行方がわからないという。やがて諏訪湖畔で自殺を装った他殺体で母親が発見される!しかも親子の自宅から現金一億五千万円が見つかり捜査本部は色めき立った!捜査が進むにつれ、その大金は離婚に際して資産家の夫とその両親から受け取ったものと判明するが…。謎が謎を呼ぶ会心の書下し長篇旅情ミステリー。
北九州の一家が三世代にわたって見舞われた不審死。時を超えて連なる事件に刑事・道原が迫る!北穂高岳を登山中、シングルマザーの門島由紀恵が落命した。鑑識の報告で何者かに殺されたことが判明し、松本署の道原伝吉は殺人事件として捜査を開始。現場付近にいた登山者への聞き込みで不審な単独行の男性が浮上する。さらに由紀恵の元夫・竹川実の姿は都内の住居になく、勤め先も辞めていた。疑念を胸に道原は二人の故郷・小倉へ。由紀恵の知人らの証言から、彼女の父親だけでなく、祖父までもが関門海峡近くで不審な死を遂げていたことを知る。三世代続けて遭った事件に関連はあるのか!?
捨て子という生い立ちが、美しい容貌に影を落としていたー。銀座の老舗デパート三松屋に勤める朝波香織は、高級時計を盗んだ疑いをかけられる。彼女の境遇に同情した旅行作家の茶屋次郎が容疑を晴らすべく動くと、盗難の内部調査をしていた宇垣の死体が、木曽川河畔で見つかった!茶屋は彼の足取りを追い、奈良井宿、馬籠宿など、古の情趣漂う木曽路へ。しかし、三松屋の取引先社員も紺碧の流れに浮かび…。茶屋が旅路の末に辿り着いたのは、六年前、銀座で起こった、凄惨な通り魔殺人の真相だった!
小森甚治は流行作家・野山遊介の秘書だ。野山が書き散らした原稿を整えたり、作品に必要な取材をして資料を準備したりするのが仕事である。ある日、野山は偶然新宿で知り合ったホームレスの男から興味深い話を聞き、作品にしたい欲求にかられる。小森はその男からさらに話を聞くことを依頼されるが男は失踪し、やがて高山市の宮川で死体で発見された!?調査を進めるうちに、男が経営していた札幌のクラブのホステスで、高山出身の女がいることが判明する。飛騨高山で交差する連続殺人事件の真相は?書下し長篇。
「母を死なせた犯人を捜したいんです」旅行作家・茶屋次郎の元に広島から細谷水砂という若い女性が訪ねてくる。彼女はラブホテルに入った実母を目撃し、逆上。火を放ち放火殺人の罪で服役したのだが、まったくの冤罪だと訴えた。“母殺し”に興味を抱いた茶屋は水の都へと飛ぶ。関係者を辿ると、放火のもう一人の被害者が、事件の二年前に“水死”していたことが判明し…。
新潟県の三条署管内で、松本在住の戸板紀之の変死体が見つかった!松本署の刑事・道原伝吉は相棒の吉村巡査と現場に急行する。戸板について調べを進めるうち、昨年、娘の婚約者が北穂高岳からの下山中に転落死していることが判明する。二つの事件はつながっているのか?捜査が難航するなか、機動隊員が拳銃を紛失するという大事件が発生。その三日後に善光寺の仲見世通りで銃撃事件が起こった。すべての事件は、35年前の夜、三条駅近くの線路であった、不可解な出来事に端を発しているのかー?
上高地・穂高岳登頂を目指した五人のパーティのリーダー有馬英継が刺殺体で発見された。そして英継が山に出かけた日に、父の国明は京都府舞鶴に出かけたまま行方不明となっていたのだ!?長野県警安曇野署・道原伝吉の捜査で、二人の不可思議な過去が次第に明らかになってきたとき新たな殺人事件が!舞鶴で何が起きていたのか?人情刑事の活躍を描く長篇旅情ミステリー。