著者 : 森久美子
優しいおうち優しいおうち
仕事人として年月を重ねるほどに、日本独自の建築法へと回帰するーー。 体にやさしい建材を使った環境に負荷の少ない住まい。 木材の地産地消と、木組みの技術の継承。 住み手が愛着の持てる家づくりを目指して、全国の大工、建築士ら八人が、日本独自の建築法を活用しようと各地で奮闘する。実話をもとに彼、彼女たちの来し方を精緻に綴った「古民家再生物語」第二弾。
背信背信
明治37年、貧しい農家に生まれたヨシノは、身体の弱い母の代わりに弟妹の面倒をみながら成長する。14歳のとき、札幌で製麻工場を経営する野田家に女中として奉公に出た。そこにはヨシノと同じ年齢のお嬢さん・廣子がいた。裕福でおおらかな野田家の雰囲気や、教養の差による価値観の違いに揺れながら成長するヨシノ。一方、廣子は何不自由なく、のびやかに青春を謳歌していた。廣子には、ひそかに想いを寄せる人が…。もし、あの時、手紙が届いていたら…。心の中に消えることのないかすかな痛みを抱きながら、二人の少女はそれぞれの人生を歩んでいく。
PREV1NEXT