著者 : 森魚名
鷹の台の黄昏鷹の台の黄昏
1970年代と80年代の東京を背景に、女性との関係を主軸に据え、主人公の知的遍歴、読書と研究の体験を重層的に織り交ぜた小説二篇。「聖処女讃歌」は吉行淳之介の『夕暮まで』を、「鷹の台の黄昏」は田山花袋の『蒲団』を彷彿とさせるものがあり、作者森魚名のダンディズム、「やさしさ」、廉直さがよく表れ、欲望を無理やり発動しない、積極的に対象と関わろうとしないナルシシズム、オナニズム、あるいは孤独なエゴイズムと表裏一体となった物語となっている。作中に「窃視」という言葉も自己言及的に使われているように、この2篇は自分史の体裁をとった「孤独な窃視者の夢想」でもある。 鷹の台の黄昏 聖処女讃歌★ヴァージン・ブルース 自分史を仮構する・森魚名論(谷川渥)
偽装恋愛偽装恋愛
純文学志望の著者による初の、妄想エロティック小説。男性・女性遍歴をおもしろ、おかしく纏めている。若き日の著者の思想遍歴の端緒のころも描かれ、怠惰と執着と挫折と希望が綯い交ぜに交錯する、青春の時代の彼方の追憶が見え隠れしている!
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