著者 : 榎本憲男
劣化した資本主義をバージョンアップせよ! 「荒唐無稽な話ではない。18世紀の英仏で同様のマネー創出が行われている。世界経済をどう立て直すか、お金とは何か。二つを同時に考えさせてくれる画期的エンターテイメントだ」 経済アナリスト・森永卓郎氏も激賞の一気読み経済エンタメ小説! 市場の空気までも読み取り、莫大なマネーを生み出す人工知能「エアー」。世界の金融市場で独り勝ちするエアーのマネーを資金に、中谷祐貴率いる財団法人「まほろば」は、福島の帰還困難区域に同名の特別自治区を建設する。 中谷たちは稼いだマネーをデジタル通貨「カンロ」に変えると、「まほろば自治区」で還流させ始める。そして、成長が鈍化する日本各地にまほろば自治区を出現させ、国外にもカンロ経済圏を開拓し始める。 政府の高級官僚からまほろばに転籍した市川みどりと福田義雄は、密かにエアーの未来に危惧を抱いていた。ひとつにはカンロ経済圏の開拓が性急すぎるから。もうひとつには、エアーの認証権が与えられているのは、中谷1人であるからだ。 そんなとき、中谷は「資本主義をやり直す」という言葉を残し、単身、日本を後にする。舞台はカナダ、中国、そしてロシアへ。中谷の目的とはーー? 【編集担当からのおすすめ情報】 前作『サイケデリック・マウンテン』が、第1回「ミステリー通書店員が選ぶ 大人の推理小説大賞」(文藝春秋「オール讀物」主催)候補作に選ばれた榎本憲男氏の最新作。 好評を博した「エアー2.0」を、さらにスケールアップ。 経済アナリスト森永卓郎氏も激賞する、一気読み必至の経済エンタテイメント小説です。
国際的な投資家・鷹栖祐二を刺殺した容疑者は、かつて渋谷の街でLSDを散布した新興宗教「一真行」の元信者だった。一種のマインドコントロールが疑われ、国家総合安全保障委員会(NCSC)兵器研究開発セクションの井澗紗理奈と、テロ対策セクションの弓削啓史が調査にあたることになる。2人は、和歌山にある一真行本部の近くに住む心理学者、山咲岳志のもとに向かう。事件の背後に隠された恐るべき謀略とは?“巡査長 真行寺弘道”“DASPA 吉良大介”の人気作家が、沈みゆく日本を舞台に描くサスペンス巨篇。
「令和」初の総選挙当日ー。首相の経済政策を批判する新党が議席を伸ばす。古参の捜査一課ヒラ刑事・真行寺が飲んでいると、「令和令和とはしゃぎやがって!」と怒声が響く。騒ぎに巻き込まれる真行寺だが、この時はまだ、自らが日本経済の裏を覗き見るハメになるとは知る由もなかった…。マニア激増中の警察小説シリーズ第四弾!
モデル事務所に所属していた十七歳の少女・麻倉瞳が誘拐された。五十代ながら捜査一課ヒラ刑事の変わり種・真行寺弘道は、評論家デボラ・ヨハンソンの秘書を務める瞳の母に接触。鑑取りの結果、誘拐犯の標的はデボラであり、その要求が前代未聞のものであることがわかったがー。最注目の警察小説シリーズ、待望の第三弾!
真行寺弘道は、ある理由から出世を拒否し、五十三歳ながら捜査一課のヒラ刑事だ。荒川沿いを流す真行寺は捜査員たちに出くわす。河川敷で変死体が発見されたという。やがてこの死体はインド人男性であることが判明。その死に事件性を感じた真行寺が、インドを専門とする若き研究者・時任の協力で捜査を進めると…。痛快娯楽大作第二弾!
ベテランの捜査一課ヒラ刑事・真行寺は、介護施設で起きた死亡事件の捜査中、自称・ハッカーの黒木と親しくなる。続く元警察官僚の議員変死事件で、背後に蠢く巨大組織の臭いをかぎ取った真行寺は、黒木の力を借り真相に迫るがー。ゲノム編集など幅広くリアルな知見に裏打ちされた、圧倒的なスケールの痛快娯楽大作登場!文庫書き下ろし警察小説。
あの人は資本主義をやり直そうとしている! 新国立競技場の工事現場で働く中谷は、不思議な老人と出会う。老人はいかにも肉体労働には向いておらず、仕事をクビになるが、現場を去る直前、翌日の競馬の大穴馬券を中谷に託していた。老人が姿を消した直後、工事現場では爆破事件が起こり、翌日馬券は見事的中する。 5000万円の現金を手にした中谷の前に、再び老人が現れ、彼が開発した市場予測システム「エアー」の代理人として、日本政府との交渉窓口となるよう、中谷は依頼される。 「エアー」は世の中に渦巻く人間の感情を数値化して、完璧な市場予測を可能にするシステムで、それは政府が握るビッグデータと結びつくことで、国家の予算を潤すほどの巨額な利益をもたらすものだった。 謎の老人の代理人として、政治家や官僚たちと交渉を重ねる中谷だったが、「エアー」を供与する見返りとして、福島の帰還困難区域を経済自由区として、自分たちに運営を任せるという要求を突きつけるのだった。 現代日本が直面する難題をつまびらかにし、圧倒的なスケールで描く近未来経済サスペンス小説。巻末解説は書評家の三橋暁さんです。 【編集担当からのおすすめ情報】 前半はミステリー・タッチで物語は進み、後半は未来を占うユートピア小説としても読めます。予想外の展開が次から次へとスピーディーに続き、気がついたときには壮大なスケールの物語の真っ只中にいることでしょう。新人作家にもかかわらず第18回大藪春彦賞にもノミネートされ、将来が嘱望される作家さんのひとりです。ぜひお手にとり、ページを繰ってください。一気読み必至の、至福の読書体験が待っています。
「あの人は本気で資本主義をもう一度まともにやりなおそうとしているのだ」新国立競技場の工事現場で知り合った謎の老人と元原発作業員の青年。老人の開発した、感情を数値化する完璧な市場予測システム「エアー」は日本政府に無償供与される。老人の代理人となった青年は見返りとして福島の帰還困難区域を経済自由区にすることを政府に要求する。「カンロ」という電子マネーを流通させ、うち棄てられた土地で始まった未来の理想社会への試みの結末は…。
賢は大学で映画研究会に属している。四年生の賢が監督で映画を撮ることになり、ヒロインには同じ映画研究会の杉崎莉沙が選ばれる。莉沙も実は監督志望で、賢が書いた脚本をめぐって、ふたりは言い争いとなるが、撮影は進む。莉沙の最後のショットを残して、彼女が交通事故に遭い死んでしまい、映画は頓挫する。一年後、賢は莉沙にそっくりな女性を見かける。声をかけ話を聞くと、莉沙の双子の妹の洋子だった。賢は洋子を起用して残されたショットを撮影し、映画を完成させようとするが、一年ぶりに集まったメンバーは、そんな賢に途惑いの表情を見せるのだった。