ここに「風流」に通じる道がある。-「心の自由」を求める苦闘。その産物としての俳諧。それは現実からの逃避ではなく、宿命に対峙する命がけの表現の場であったのだ。
ーこの男の言うことはまるで不可解だ。首藤善介は列車の中で、自称作家の皮肉屋な男・大庭と出会う。「ウタビトの塚」を訪ねる大庭と善介の焦燥の日々、そして「虚構」をめぐる青春短編小説。他三編収録。
あの夏、269人がサハリンの海に消えた。1983年、北方の海上に消息を絶った大韓航空機。数多の無辜の命を奪ったのは、ソ連戦闘機が放ったミサイルだったー。