著者 : 田島昭宇
“いけにえまつり”-それは邪神へ供物を捧げる狂乱の儀式。凄惨な儀式に巻き込まれた少年・愛作は、大切な家族を失った。愛作自身は駆けつけた邪神ハンターに確保されるが、利用価値がないと断じられ、地下深くの廃棄坑に捨てられてしまう。地の底に棲むのは粘性の邪神眷属・ショゴス。愛作は一方的に捕食される運命ーだったはずが、利害の一致でショゴスと意気投合して!?互いの目的を果たすべくショゴスと運命をひとつにした愛作。その身に宿すは復讐の衝動と邪神に連なる超常の力でー!?クトゥルフ神話より出でし狂気の黙示録、解禁。
織田の軍に妻子を殺された、若き伊賀の上忍・影正。信長への復讐を誓い凄腕の忍び7人を連れて紀州へ向かう途中、荒れ寺に辿り着くが、そこに棲む妖が1体ずつ彼らを襲ってきて!? 忍者VS妖怪の死闘!!
北海道が一般の人にとって地の果ての島だった明治19年。薩摩出身の青年、有馬四郎助は月形の樺戸集治監の看守に着任した。そこは刑期12年以上の凶徒を集めた人間の運命の吹きだまりであった。正義感あふれる四郎助は、個性的な囚人たちが起こす奇怪な事件に厳しく対しようとする。だが、元与力のキリスト教教誨師・原胤昭との出会いがその運命を変え始め…。明治に生きる人々の姿をつぶさに拾い上げた圧巻の人間ドラマ。
囚人だって人間だーと言う原胤昭の言葉が心にかかった四郎助は、いつしか囚人たちが引き起こす事件の内に、彼らの仁義や数奇な人生を見出すようになっていた。そんな中、ある因縁から罠に掛けられた原が命の危機にあると知る。彼を救うべく、四郎助は囚人たちを巻きこんだ大芝居を打とうとするが…。事実と創作を巧みに織り交ぜ、後の“愛の典獄”有馬四郎助の成長と北海道開拓史の一幕を活写した明治群像劇の名著。
明治6年、征韓論に敗れた西郷隆盛は薩摩へ。明治政府は大久保利通を中心に動きだし、警察組織もまた、大警視・川路利良によって近代的な警視庁へと変貌を遂げようとしていた。片や、そんな世の動きを好まない元同心・千羽兵四郎と元岡っ引・冷酒かん八。2人は元江戸南町奉行・駒井相模守の人脈と知恵を借り、警視庁に対決を挑んでゆくのだが…。開化期の明治を舞台に俊傑たちが東京を疾走する時代活劇譚。
東京を騒がせる怪事件の影で、知略によって警視庁を出し抜いてきた元江戸南町奉行の一派。業を煮やした大警視・川路はとうとう直接対決に踏み切る。同じ頃各地では、反政府派の叛乱により不穏な空気が漂っていた。そんな中ついに西郷蜂起す、との報が入る。その裏に隠されていた大からくりとは?そして近代化を巡る争いの帰趨とは…。華やかな明治に潜む闇の中を流浪するものたち。その哀切を描く、山風明治群像劇の一大傑作。