著者 : 田村和大
「ヤクザはカスだ。どんな偉いヤクザでも」。ヤクザの父親を持った二人の少年。日常的な暴力、シャブに溺れる両親、ヤクザの子であるがゆえにされる差別…苛烈な少年時代を過ごした二人は、一方は検察官になり「暴力団撲滅」に邁進し、もう一人は皮肉にも親と同じく渡世の道を歩きはじめる。二人が幼き日に結んだある誓いとは!?そしてラストで明かされる意外すぎる結末とは!?現役弁護士作家が描く渾身の社会派小説。
検察官をやめ郷里の福岡で法律事務所を開業している一坊寺陽子。そんな彼女のもとに同期の弁護士である桐生晴仁から2つの依頼が届く。ひとつは「桐生晴仁が佐灯昇を殺した」と書かれた懲戒請求書の差出人を捜してほしいというもの。佐灯昇とは桐生が弁護をし、陽子が公判担当検事をつとめた16年前の「両親殺し」の犯人。もうひとつは、虐待を受けていた少女が実の父親を殺した事件の弁護。「2つの親殺し」を調べていくうちに、それぞれの裏に隠された衝撃の事実が浮かび上がっていく…。
四年前、殺人罪に問われた女性の無罪判決を勝ち取り、脚光を浴びた弁護士の大石。医療過誤の裁判で、彼は依頼人である原告・長瀬の尋問に向け、準備を整えていた。しかし当日、時間になっても長瀬が法廷に現れず、大石は裁判官や相手の弁護士に頭を下げる破目に。大石が原告の自宅を訪ねると、そこにいた「長瀬」は、昨日まで打ち合せをしていた原告とは似ても似つかぬ、全くの別人だった。弁護士生命さえ危うい事態に、真相究明に乗り出した大石だったが…。
元科捜研の職員が相次いで死体で発見された。現場の一つから検出されたDNA型は、強制わいせつ事件の元被告人・北村のもの。しかし、捕捉された北村は殺人を認めず「過去のわいせつ事件もDNA鑑定を偽造された冤罪だ」と主張する。彼が提示した証拠は驚くべき事実を示しており、事件は予想外の方向へ向かう。全てを操っていたのは誰なのか。「筋読み」に長けた刑事・飯綱が科学捜査の闇に挑む!
「脳の血腫など特定の三徴候が出た場合、その幼児は被虐待児である」。堀尾雄次は子どもに三徴候があったことから、虐待を疑われて警察に連行された。雄次は容疑を否認。捜査に当たるのは、永久出向制度で警視庁から故郷に戻ってきた刑事・栗秋と若手の細井。栗秋の能力を疑う細井だったが、栗秋は上層部の意向を無視して、血腫について捜査を進める。「出向」刑事が、医療業界の闇を暴く!
女性モデル殺害の疑いで山下という男が出頭。殺害現場で採取されたDNA型が山下のものと一致したため起訴間違いなしと目されたが、警視庁捜査一課の刑事・飯綱だけは異を唱え、捜査を外されてしまう。同じ頃、少年が車に轢かれ、直後に連れ去られる事件が発生。担当をあてがわれた飯綱は少年の居場所を特定し無事保護したが、少年から山下と全く同じDNA型が検出されたとの報せが入りー。