著者 : 甲斐貴史
多摩川のほとり多摩川のほとり
多摩川は私にとって思い出のたくさん詰まった場所で、生活の中に溶け込んでいた。多摩川は東京と神奈川に挟まれた川で、子供たちは大田区側からガス橋を渡り、川崎側にある水門の河口の堰に小魚を捕りに行ったりして遊んで過ごした。 土手や河川敷には、いろいろな生き物が生息している。そんな生き物たちを見つけては捕まえて遊んだりもした。今とちがって遊び事は自分たちで考えた時代であった。 子供は、大人の複雑な社会など我関せずと日々戯れていた。そんな多摩川のほとりでの思い出を、私は大人になっても大切な宝石箱のように抱きしめていて、開けるとオルゴールの音色が脳裏によみがえる。(「プロローグ」より) プロローグ• 多摩川 ほのかなる香りをもとめて 5 1• 家族 15 2• 春が来て小高い丘へ 23 春愁/そよ風に銀輪が走る/寄り道/いざ亀甲山古墳へ/竹鉄砲と竹トンボ 3• 最後の夏休み 39 川遊び/宿題 4• 台風 57 二学期の始まり/台風の接近/九月二六日金曜日 5• イカダの冒険 71 6• ずる休み 81 7• 春・夏・秋が過ぎて 89 冬の訪れ/焚き火/クリスマス 8• 雪だるま 101 9• ほたるのひかり窓のゆうき──友情 111 あとがき 122
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