著者 : 石山透
水もしたたる美少年、犬阪毛野は父の仇である管領扇谷定正を狙い、その屋敷に潜り込むが奥方蟹目の方に正体がばれて、牢に入れられてしまう。その毛野を一目見た扇谷の一人娘陽姫が見て恋焦がれるように…! 何とか娘に諦めさせようと、毛野に剛の者たちとの婿取り試合をさせるが…。『南総里見八犬伝』の大胆な解釈のもと大人気を博した伝説の人形劇を、脚本家自らが書き下ろした完全小説版、第3弾! 一 ついたての虎暴れ出し、毛野陽姫奇妙な道行 二 またも出た左母二郎、毛野の珠をば懐中に 三 怨霊に魂売った素藤、現八慕う栞に横恋慕 四 浜路が打った大芝居、里見城は存亡の危機 … 十五 玉梓が怨霊嵐を呼び、お蔭で信乃浜路再会 … 三十 浜路と沙羅は瓜二つ、あわれ刑場の露に?
里見家の宿敵、鎌倉の管領扇谷定正は安房の国を滅ぼすため戦の準備を進めていた。一方、安房那古観音の境内では、伏姫ゆかりの七人の犬士がようやく巡りあい集っていた。最後の犬士、犬江親兵衛を探して、犬塚信乃と犬村角太郎は出羽の国に旅立つが、二人の行く手を阻むのは、あの玉梓が怨霊だった!『南総里見八犬伝』の大胆な解釈のもと、大人気を博した伝説の人形劇。その完全小説版、完結巻!
力自慢の犬田小文吾は旅の途中、悪女舟虫の計略にはまり牢屋に入れられてしまう。そこへ助けに現れたのは、人気田楽一座の花形美女、旦開野(あさけの)。その正体は、親の仇を狙う女装の若武者、犬阪毛野だった! 一方、犬塚信乃は船で安房の国に向かう途中、玉梓が怨霊の起こした大暴風雨(おおしけ)で、船が難破し流れ着いたその先は、なんと海賊の根城「鬼ヶ城」だった。『南総里見八犬伝』の大胆な解釈のもと、大人気を博した人形劇を、脚本家自らが書き下ろした完全小説版! 一 舞台変わって浅草近く、猪殺して小文吾登場 二 笛を使ったひと芝居、策に溺れた悪女舟虫 三 同じ穴のむじな二匹、ねらいも同じ金と欲 四 小文吾虎穴にはいり、家老の秘密をにぎる 五 娘姿は世を忍ぶ姿、旦開野は男でござる … 二七 道節の活躍で珠戻る、だが浮き出た娘の顔 二八 はたして何を恨むか、フジの下に立つ謎の娘 二九 須紗のうらみ消えて、遂異にに小文吾の目快癒
時は室町時代、安房の国は里見城で打ち首となった玉梓(たまずさ)の祟りに立ち向かうため、伏姫(ふせひめ)は犬の八房(やつふさ)とともに己の胎内から八つの珠を持つ八犬士を生み出す。十数年後、「孝」の珠を持つ犬塚信乃(いぬづかしの)は、父の形見の名刀村雨を、さもしい浪人網乾左母二郎(あぼしさもじろう)にだまし取られ、恋人浜路とも離れ離れになるが、それはすべて、玉梓が怨霊の仕業だった。『南総里見八犬伝』の大胆な解釈のもと大人気を博した人形劇を、脚本家石山透自らが書き下ろした、完全小説版! 一 シロが子犬を生んだ、かくて物語は始まる 二 怨霊が夜空を飛んで、狸は子犬に乳をやる 三 体に散る八つの花房、果たしてどんな宿命か 四 役の行者が現れて、伏姫に数珠を授ける … 十六 伏姫ゆかりの八犬士、犬塚信乃に陰謀の渦 … 三七 現れた四番目の珠、浮き出る忠の一文字