著者 : 祥賀谷悠
良の季節 『南紀州』三部作完結編良の季節 『南紀州』三部作完結編
ハイジャンプで全国高校1位になった良。大学進学を機に新しい世界に挑む。ベトナムのフォン、アメリカのソフィアとともに『資本論』を学ぼうと世界に発信する。あらわになる世界資本主義の矛盾にSNS時代の彼らはどこまでも若く、鋭い。
続・南紀州 向かい風続・南紀州 向かい風
取材先のカンボジアで凶弾に倒れた恋人。哀しみ、怒り、遺志を胸に地方新聞の記者になった洋子。紀伊半島の過疎を狙ったいくつもの原発計画。義姉の死、残された幼い姪。天安門事件につづきソ連の崩壊…。洋子は向かい風に立つ。
南紀州 荒南風のとき南紀州 荒南風のとき
まだ夜が明けていなかった。南紀州の山々は古くから三千六百峰と呼ばれてきたが、その山々や各地に散在する村々を激しい春の風雨が襲っていた。一九一二(大正一)年のある晩春の夜明け、流域の山々や谷々の水を集めて富田川の濁流が勢いを増し、重いうなり声をあげて紀伊水道へと流れ込んでいた。(「第一部・灰色の雲」より)。
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