著者 : 立石優
(また後始末じゃ)大久保は、西郷にいささかうんざりしたー。信念によって動き、攻めるときは無類に強いが、守勢に回ったときにはあっさり投げ出してしまう西郷。そんな西郷に振り回されながらも、その長所と短所をよく知り、持ち前の粘り強さで支えていく大久保。余人にはうかがい知れぬ両雄の絆を新視点でとらえつつ、維新回天に果たした二人の役割を活写した歴史長編。
医者の家に生まれながらも、大きな志を抱く久坂玄瑞。やがて吉田松陰と出会うと、その才能は開花し、妹・文の婿に迎えられることに。だが、松陰が非業の死を遂げると、その運命は大きく変転。師の遺志を継いだ玄瑞は、高杉晋作らとともに尊王攘夷活動に奔走していくー。幕末の動乱をまっすぐに生き、維新の先駆けとなった若き傑物を活写した長編。文庫書き下ろし。
太平洋戦争中、どんなに激しい海戦でも必ず生き残って帰投し、“奇跡の駆逐艦”と謳われた「雪風」。緒戦のスラバヤ沖海戦から第三次ソロモン海戦、ガダルカナル撤収作戦、レイテ沖海戦と数々の修羅場を潜り抜け、戦艦「大和」の沖縄特攻作戦からも生還した“不沈の航跡”は名高い。その強運から“神宿る”と呼ばれた「雪風」を舞台に、二百余名の乗員たちの激闘のドラマを描く。文庫書き下ろし。
主君のうらみを晴らそうと燃える忠義の士たちも、筆頭家老・大石内蔵助の芸妓遊びや討入りに対するあいまいな態度に、徐々に団結が乱れ、分裂の危機が訪れる。まして土方と江戸に浪士が別れていれば、尚更互いに疑心暗鬼となる。その中で安兵衛は、江戸のリーダーとして上方と江戸を往復し、心をまとめていった。そして機は熟し、ついに内蔵助は立ち上がった…。
非行少年と更生保護司の格闘物語!今日的問題の核心に迫り、家庭、学校、社会に問いかける迫真の話題作!この物語は、二十五年に渡って非行少年達の更生に尽力してきた、1人の気骨ある保護司をモデルにして書かれたものである。人物、地名、事件の内容等はすべてフィクションであるが、実際にあったさまざまな出来事をヒントに書かれたものである。
時代が、体制が音を立てて崩れ、移り変わってゆこうとする幕末に生きた九州は柳川藩の一剣士・神影流大石進の一代記である。六尺余の長身に長刀を持たせ、必殺の突き技を使わせたら江戸の千葉周作道場、斎藤弥九郎道場を破るほどの腕を持ち、天保年間の剣術界に旋風を巻き起こし、剣技・剣道具の改良にとり組んだ異色の剣豪である。