著者 : 竹村篤
竹邑亭奇聞竹邑亭奇聞
出羽三山といえば羽黒山・月山・湯殿山を指すが、その昔は山伏修行の聖地の一角を葉山が占め、長恵院では奪れた葉山修験道の復興を悲願としていた…(出羽即身仏伝奇)。会津の数ある名産品のひとつに「絵蝋燭」がある。蝋の生産は、藩の貴重な収入源として専売制の下に急伸したものだが、絵蝋燭の開発のうらに…(「会津絵蝋燭奇談」)。-その他、浮世絵師歌麿の「幻の名作」異聞、日本酒造りの「杜氏」秘史、そして木曽の「娘宿」哀話という5話構成になる本編は、著者の曽祖父の弟にあたる竹邑亭雀子と号する文人趣味の人物が遺した草稿を現代文に書き直し、いささかの潤色を施して再話したものというが、1話1話が丁寧な細工物を見るような感興をそそる情趣深い佳編である。
横浜開港熱血商人横浜開港熱血商人
上州浅間山麓中居村の名主の子に生まれ、幼時からその天才の名をほしいままにしてきた重兵衛は、20歳で江戸に出た。母方の遠縁に当たる日本橋の書籍商に寄宿していた縁で佐久間象山・勝海舟らと親交を結ぶかたわら剣を練兵館に学び、火薬の製法にも手を染め、当時の最先端をゆく『集約砲薬新書』まで著述していつしか開国思想に目覚めていったが、ペリー艦隊の来航を見るや外国との交易に目をつけ、自ら開港の先駆として未開の横浜へ!攘夷派浪士からは奸商と暗殺の機をねらわれ、井伊大老暗殺では使われた拳銃の出所に絡んで鬼与力の魔手に追われながら、江戸の豪商の圧力に敢然として反旗を翻した反骨の漢!-横浜を日本一の貿易都市に育てあげた一代の侠商“絢爛の生涯”を描く伝記ロマン!
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