著者 : 笠井康平
どうして、いつまで、どうやって、 僕らは物語(おはなし)を作るのだろう。 いくつもの時代のカルチャーを経巡りながら、 ささやかに失われてばかりの生と語りの歴史をかたる、 言葉に恋する新時代の物語撰集。 ーーーー [推薦] 町屋良平(小説家) この本は言葉への恋愛小説だ。恋は苦しい。まるで人生みたいに? 恋は醜い。まるで人間みたいに? 恋は美しい。まるで世界みたいに? 恋は重い。まるで生死みたいに? 私は言葉より早く死んじゃうのに、どうしてこの小説は言葉を愛せると信じさせてくれるのだろう。 山内マリコ(小説家) 若さという足かせ、時代という苦難、増殖するノイズ……それらを「言葉」で超克しようと格闘した日々の全記録。東日本大震災からコロナ禍までの“極私的な自粛期間”に創作されたすべての作品は、信じるに足る、永遠の宝物だ。 ーーーー ◉「いぬのせなか座」メンバーのほか、「原稿料」や「契約(書)」について考えるメディア「作家の手帖」共同編集長を務め、『ユリイカ』『早稲田文学』『S-Fマガジン』など各誌で活躍してきた著者による、待望の初作品集。 ◉人々は変化するメディア環境のなかで、どのように自分のための物語をつくり、それを支えに生き、あるいは失敗してきたのか。中世の和歌文化から近代の歴史物語、近未来の観光・医療まで……なにより東日本大震災とコロナ禍のあいだにあったはずの「時代の気分」をめぐりながら、世代意識とリテラシーのへだたりをつなぎ直す、小説・詩歌・批評・日記などの形式を用いて編まれた画期的20編。 ◉それ自体作品として読める全編自作解題(1.5万字)つき。 ◉カバーなし・仮フランス装の洒脱なデザイン。帯を外すと洋書風にもなる、存在感のある装釘です。 まえがき 1 漢字が苦手なその子の宿泊と郵便 じゃないけど、似たものーー60年代少女小説 情報社会の大悪党ーーあるいは弊社の石井GM こよみのうた 2 プリティ・リトル・ベイビーズ 彼と僕の大事な恋人たち ふたりと、それを分け合うこと 描写の向こうで眠りたい 3 荒木さんの退職 空間とその美女のアドバタイズ ストイコビッチのキックフェイント 清潔でとても明るい場所へ 4 識字率と婚姻のボトルネック オキナワ医療観光公社 つづかない組織はどうすれば歌えるのか 家柄 5 うつさないように 世間体とレソロジカ よものよのもの ファースト・マカロニペンギン 自作を語る はじめての現代文芸撰集