著者 : 藤田新策
閉ざされて閉ざされて
わたしは、ミギワは、自分の顔が嫌い。醜い醜いこの顔が嫌い。函館の西郊で海に臨んで建つ邸宅、雪華荘。かつて栄華を誇った宝石商の一族が所有する邸だ。その一室で、18歳の藤吉汀はひっそりと暮らしている。病に倒れ身体の自由がきかなくなった父、財産目当ても明らかな後妻と、その子供たち。汀は苦しい胸の内を、たった一人の兄に語ろうと、手記をしたため始めるが…。鮮やかな叙述で導かれる衝撃のラスト!著者渾身のミステリ。
サイレント・ブラッドサイレント・ブラッド
失踪した父の車が、長野県大町市で見つかった。その発見現場で息子の一成は深雪という地元女性と出会う。ある理由で一緒に父親の足取りを追う2人だったが、何者かにより妨害される。父にはこの地に秘密があったのだ。手がかりは「タケル」という名前と「カクネ里」という地名のみ。果たして、父は何者だったのか?早世後刊行された、大ヒットデビュー作『ファントム・ピークス』の著者が遺した、珠玉のサスペンス・ミステリ。
部長漂流部長漂流
バブル崩壊後、大型プロジェクトが打ち切られ、出世コースからも外れた不動産会社部長の森田は、早期退職制度に応募して再起に賭けていた。独立して、三十年間やってきたこの不動産業界で、もう一旗揚げるのだ!ところが退職の夜、妻子が失踪し、起業資金が消えた。自分の身に、いったい何が起こったのか?サラリーマンにとって、家族とは、仕事とは何なのか。家族の絆を問い直し、自分を見つめ直してゆく、再生の物語。
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