著者 : 角川書店装丁室國枝達也
いつになったら、満たされるんだろう。誰に対して怒っているんだろうー実社会にしっくりなじめず、自分の居場所をさがしあぐねている人々。会社で同僚からも距離を置かれている同期の男女、倒産寸前の店を経営する夫婦、離婚してひとり暮らしを始めた女性…都会の片隅でちいさな不満やささやかな希望を抱きながら生きる等身大の日常にやわらかなまなざしを投げかけるハートウォーミング・ストーリー。
26歳の高校教師・美樹は担任することになった生徒の澄美を見て嫌な予感を覚える。かつて童貞高校生だった頃に特殊な性の手ほどきをしてくれた志保先生と同じ“匂い”を澄美が持っていたからだ。絶対に手を出してはいけないと思いつつも志保先生によって育まれた美樹の性癖は徐々に覚醒する。ついには澄美に接近するが、彼女は美樹の想像を遙かに超える女だった…。シリーズ史上“最強”ともいえる奴隷が登場する第7弾。
わたしは、ミギワは、自分の顔が嫌い。醜い醜いこの顔が嫌い。函館の西郊で海に臨んで建つ邸宅、雪華荘。かつて栄華を誇った宝石商の一族が所有する邸だ。その一室で、18歳の藤吉汀はひっそりと暮らしている。病に倒れ身体の自由がきかなくなった父、財産目当ても明らかな後妻と、その子供たち。汀は苦しい胸の内を、たった一人の兄に語ろうと、手記をしたため始めるが…。鮮やかな叙述で導かれる衝撃のラスト!著者渾身のミステリ。
童貞高校生・美樹は恋人・苑子との初体験への期待とともに夏を迎えた。だがある夜、苑子が後輩にフェラチオしているのを目の当たりにしてしまう。傷つく美樹の前に現れたのが美術の志保先生。先生は美樹にすべてを告白させると、ついには美樹を犯してくれる。その後は先生のいいなりに、あらゆるセックスを体験する美樹。しかしやがて美樹の頭の中に、ある疑問が大きく広がっていく…。大人気シリーズの第6弾。
私、電車に飛び込もうとするんですー広告会社に勤める佐東邦郎は、プレゼンを繰り返す忙しい日々の中、自分の中に抑えきれない自殺衝動が生まれていることに気づく。無意識かつ執拗に死を意識する自分に恐怖を感じた邦郎は、精神科を訪れるが、そこでは!?人間の心をコントロールするのは誰なのか、意志や行動を決めるのは、本当に自分なのか。そして人間たちの狂おしき贖罪の結末は!?緊迫の社会派医療サスペンス。
飢えとマラリア、過酷な山越えのための想像を絶する疲労の中、困難な道を進む兵隊たち。摩耗する心と体。俺はこのニューギニアの地に捨てて行かれるのかー。味方同士で疑心暗鬼に陥る隊では不信が不正を招き、不正が荒廃をはびこらせる。そんな極限状態で人間が人間らしくあることは果たして可能なのか。第二次大戦の兵站線上から名もなき兵隊たちの人間ドラマを冷徹なリアリズムであぶりだす。
失踪した父の車が、長野県大町市で見つかった。その発見現場で息子の一成は深雪という地元女性と出会う。ある理由で一緒に父親の足取りを追う2人だったが、何者かにより妨害される。父にはこの地に秘密があったのだ。手がかりは「タケル」という名前と「カクネ里」という地名のみ。果たして、父は何者だったのか?早世後刊行された、大ヒットデビュー作『ファントム・ピークス』の著者が遺した、珠玉のサスペンス・ミステリ。
学校から一歩足を踏み出せば、そこには日常のささやかな謎や冒険が待ち受けているーー。読者と選んだ好評アンソロジーシリーズ。放課後編には、浅田次郎、石田衣良、橋本紡、星新一、宮部みゆきの短編を収録。
ジュニアサッカーチーム・桜ヶ丘FCの武井遼介は、6年生になって早々に、キャプテンの座もレギュラーポジションも失い、初めて挫折を味わう。そんな中、新監督・木暮との出会いを通して、遼介は自分がサッカーをやる意味を見つめはじめる…。個性的なチームメイト、大人たちとの関わりの中で、悩み、もがき、成長していく少年たち。ひたむきな気持ちを呼び起こす、熱く切ない青春スポーツ小説。