著者 : 辻堂魁
「父の仇・柳井宗秀を討つ助っ人を雇いたい」渡り用人・唐木市兵衛は胸をざわつかせた。請け人宿の主・矢藤太によると、依頼人は女郎に身をやつしているが、武家育ちの上品な女らしい。しかし、二人の知る宗秀は病に苦しむ人々に寄り添う仁の町医者である。真偽を確かめるため岡場所を訪ねる市兵衛。だが、仇討ちには宗秀の故郷信濃を揺るがした大事件が絡んでいた!
旗本の息子ながら読売屋“末成り屋”の主となった水月天一郎の元に、向島で無理心中があったとの報せが入る。心中したのは、両替商の手代と御家人の娘。調べ始めた天一郎の脳裏に疑念が浮かぶ。なぜ二人は心中をしなければならなかったのか。謎を追う天一郎たちに刺客が迫る。人気急上昇中の著者、渾身の痛快シリーズ第四弾。正義の筆と華麗なる剣が「悪」を断つ!
千住宿で舟運業者の寄合が押しこみに遭ったという噂が流れた。だが道中支配の勘定所に届け出はない。悪党から“夜叉萬”と畏怖されている北町の隠密廻り同心・萬七蔵に探索の秘密が下る。同じ頃、勘定所の役人が深川の妾宅で房事の最中に殺される。白昼堂々の鮮やかな手際は玄人のもので、助かった妾は白猫を見て悲鳴を上げた。翌晩、二十数年前に江戸を出奔した友が現れた。七蔵の胸に、亡き妻と三人で過ごした日々と悔恨が甦る。シリーズ第四弾!
「ああいう男はとり除かねば」文政半ばの年末、江戸城内外で奥祐筆組頭・越後織部は謀議を重ねていた。翌春、長兄で目付・片岡信正の婚儀の喜びも冷めぬ中、今は市井に生きる末弟・唐木市兵衛は、信正配下の小人目付・返弥陀ノ介捕縛、責問の報に驚愕。信正も謹慎中と知り、真相の究明に乗り出すが…。冤罪に落ちた兄と友を救うため、“風の剣”が城に巣くう闇を斬る!
かつて御小人目付として剣と隠密探索の達人だった九十九九十郎。だがある事情で職を辞し、今は「仕舞屋」と称してもみ消し屋を営んでいる。そんな九十郎の家を、ある朝七と名乗る童女が賄いの職を求めて訪れた。父母を失ったという七は断っても出て行かず、父仕込みの料理で九十郎を唸らせる。「侍」のもとで働きたいという七の真の目的とは?九十郎の情と剣が、事件と心の綾を解く!時代小説・書下し。
渡り用人・唐木市兵衛は、知己の蘭医・柳井宗秀の紹介で人捜しを頼まれた。依頼主は江戸東郊の名主で、失踪した代官所の手代・清吉の行方を追うことに。一方、北町同心の渋井鬼三次は、本来、勘定奉行が掛の密造酒の調べを極秘に命じられる。江戸で大人気の酒・梅白鷺が怪しいというのだ。やがて二つの探索が絡み合った時、代官地を揺るがす悪の構図が浮上する…。
お家騒動で揺れる出石藩の姫君が江戸市中で命を狙われた。武蔵国等々力村に身を潜めた姫の護衛に選ばれたのが、算盤侍の唐木市兵衛。美貌の上に天衣無縫な姫君、初めての市井の暮らしに目を輝かせるが、農民の困窮に心を痛める。そして無謀な行動に出たことから敵方に知られることに。月光の下、殺到する刺客に“風の剣”を振るい立ち向かう市兵衛と姫の運命は。
日本橋小網町の醤油酢問屋「広国屋」に風のように一人の男が現われた。“算盤侍”の唐木市兵衛である。使用人の不正を明らかにしてほしいということだったが、折しも広国屋で使う艀に直買い(密輸)の嫌疑がかかっていた。市兵衛は店を牛耳る番頭の背後にいる、古河藩の存在を知る。その側用人と番頭の企みとは?風の剣を揮う市兵衛の活躍やいかに。
内藤新宿開宿以来の老舗磐栄屋が窮地に陥っていた。不当に立ち退きを命じられた挙句、主天外と跡取り息子が何者かに襲われたのだ。そんな最中、風のように一人の男が現われる。“算盤侍”唐木市兵衛である。つぶさに現状を調べた市兵衛は、新宿進出を狙う豪商と鳴瀬藩の陰謀と看破する。主の娘とともに店を救う秘策とは?時代小説に新たな風が吹く、大好評の第二弾。