著者 : 酉島伝法
■【創立70周年記念】(1)川野芽生、嶋津輝、田中啓文、酉島伝法、町田そのこ、米澤穂信の豪華執筆陣による、書き下ろし読切。(2)本邦初訳短編やコラムなどで贈る、特集「現代英国ミステリのゆるぎなき至宝ーーアン・クリーヴスの世界」。(3)川出正樹が贈る、評論『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション』出張版。■錯綜する証言の先に見えた、五人の本当の関係とは? 貫井徳郎「不等辺五角形」最終回ほか。
球地ー人々はそこに散在する八つの聚落で生活していた。その球面世界を、五つの太陽が絶え間なく巡っていた。リナニツェたちの聚落の太陽が死に、太陽は四つになった。リナニツェは生きのび、奏で手の過去を封印した。そしてリナニツェはジラァンゼを生み、ジラァンゼはヌフレツンを生んだ。親子三代にまたがる壮大な物語が、いま幕を開ける。聞こえるだろうか、地に満ちる生命の賛歌がー
迷信の国へ、ようこそ。スピリチュアルと科学が逆転した、心の絆が生み出すユートピア・ニッポン!『皆勤の徒』『宿借りの星』で日本SF大賞を2度受賞した期待の星による連作小説集。結婚式場に勤める星屋は、38度の熱が続いていた。解熱剤を飲もうとすると妻の真弓に「免疫力の気持ち、なぜ考えてあげない」と責められる。(『三十八度通り』)。真弓の母は、全身が末期の蟠りで病院のベッドに横になっていた。すぐに退院させられ、蟠りを「るん(笑)」と名づける治療法を始めるがー。(『千羽びらき』)。真弓の甥の真は、近くの山が昔の地図にはないと知り、登りはじめた。山頂付近で、かわいい新生物を発見する。それは、いまは存在しないネコかもしれなかった。(『猫の舌と宇宙耳』)。奇才・酉島伝法がはじめて人間を主人公にした作品集!
究極の独創的作家・酉島伝法、デビューから9年間に書かれたSF短篇を集成。異形の存在へと姿を変えられた受刑者の物語「環刑錮」、刷版工場に勤める男性の日常が次第に変容していく「金星の蟲」、人類の異星探査を異星生物側の視点で綴った生態系SF「ブロッコリー神殿」、宇宙を航行する市街船と奇妙な“オーロラ”とのコンタクトを描く書き下ろし「クリプトプラズム」など、圧倒的な筆致で描かれる全8篇。
創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が集結、書き下ろし短編で競演。“宇宙編”には高山羽根子(第1回佳作)、酉島伝法(第2回正賞)、理山貞二(第3回正賞)、オキシタケヒコ(第3回優秀賞)、宮西建礼(第4回正賞)、宮澤伊織(第6回正賞)の6名の作品を収録する。2020年代の日本SF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家陣が贈る、オリジナルアンソロジー。
その惑星では、かつて人間を滅ぼした異形の殺戮生物たちが、縄張りのような国を築いて暮らしていた。罪を犯して祖国を追われたマガンダラは、放浪の末に辿り着いた土地で、滅んだはずの“人間”たちによる壮大かつ恐ろしい企みを知る。それは惑星の運命を揺るがしかねないものだった。危機に立ち向かうため、マガンダラは異種族の道連れとともに、戻ったら即処刑と言い渡されている祖国への潜入を試みるー“異形の天才”待望の初長編。
高さ100メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上とそれを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、日々の勤めは平穏ではないー第2回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全4編。奇怪な造語に彩られた異形の未来が読者の前に立ち現れる。日本SF大賞受賞作、待望の文庫化。
百メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではないー第二回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全四編。連作を経るうちに、驚くべき遠未来世界が読者の前に立ち現れる。現代SFの到達点にして、世界水準の傑作。