著者 : 酉島伝法
あなたの街の商店街、どこの異界につながっていますか? 姉に猫の世話を頼まれてやってきた見知らぬ街。 近づかぬよう忠告されていた場所へ うっかり迷い込んでしまったら、そこはーー 言葉とイメージの奇術師・酉島伝法が贈る 「往きて踊りし」物語! 姉から猫の世話を頼まれ、 見知らぬ町に滞在することになった翻訳家の宮原。ある日、 近づかないように忠告されていた商店街にうっかり足を踏み入れてしまう。常に景色が変容し、 重なりあった異界が垣間見える商店街の深淵から、アリアドネの伊藤と名乗る人物に救出されるも、姉が異界の町の御神体にされたという事実を知らされる。事態を打開するには、 来たる 「掌紋祭」 の 「踊り合い」 で異界に近づく必要があるという。宮原は祭りに参加するべく、 町のダンス教室で猛特訓を積むことに。言葉とイメージの奇術師・酉島伝法が贈る往(ゆ)きて踊りし物語! ■目次 無常商店街 蓋互山、葢互山 野辺浜の送り火 巻末特別対談 カシワイ×酉島伝法
■【創立70周年記念】(1)川野芽生、嶋津輝、田中啓文、酉島伝法、町田そのこ、米澤穂信の豪華執筆陣による、書き下ろし読切。(2)本邦初訳短編やコラムなどで贈る、特集「現代英国ミステリのゆるぎなき至宝ーーアン・クリーヴスの世界」。(3)川出正樹が贈る、評論『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション』出張版。■錯綜する証言の先に見えた、五人の本当の関係とは? 貫井徳郎「不等辺五角形」最終回ほか。
球地ー人々はそこに散在する八つの聚落で生活していた。その球面世界を、五つの太陽が絶え間なく巡っていた。リナニツェたちの聚落の太陽が死に、太陽は四つになった。リナニツェは生きのび、奏で手の過去を封印した。そしてリナニツェはジラァンゼを生み、ジラァンゼはヌフレツンを生んだ。親子三代にまたがる壮大な物語が、いま幕を開ける。聞こえるだろうか、地に満ちる生命の賛歌がー
ひとつ手紙を開くたびに、 心は地上のはるか彼方に飛ばされる。 手紙を受け取るということは、 もうそれだけで旅なんだ。--岸本佐知子(翻訳家) 三人の作家がそれぞれ架空の土地をめぐる旅に出た。 旅先から送り合う、手紙、スケッチ、写真ーー27の幻想旅情リレー書簡。 「この国にはいわゆる“お金”がありません。貨幣の代わりに踊りを踊ります。」「たぶん、翌朝にはチェックアウトできるでしょう。チェックインをしなかったような気もするので心配ではありますが。」「われわれ乗客は無言で顔を見合わせました。すでに『われわれ』と呼んでさしつかえないような連帯感が生まれていました。」三人の作家が架空の土地を旅してまわり、文章や写真、スケッチを送りあう、幻想旅情リレー書簡集。
■小鳩君と小佐内さんが活躍する、シリーズ最新短編! 米澤穂信「羅馬(ローマ)ジェラートの謎」。■第18回ミステリーズ!新人賞優秀賞受賞作、村嶋祝人「百円玉」。■倉知淳、酉島伝法、空木春宵、川野芽生、戸田義長、床品美帆、弥生小夜子、S・チョウイー・ルウ、パトリック・ネスが贈る、読切掲載。■高山羽根子・酉島伝法・倉田タカシがリレー形式で語り合う、『旅書簡集 ゆきあってしあさって』刊行告知掲載。■名翻訳家が語る、書籍や映画にまつわるエッセイ新連載スタート! 若島正「乱視読者の読んだり見たり」ほか。 ■目次■ 【小鳩君と小佐内さんが活躍する、シリーズ最新短編!】 羅馬(ローマ)ジェラートの謎 米澤穂信 解説「羅馬ジェラートの謎」 北原尚彦 【第18回ミステリーズ!新人賞優秀賞】 百円玉 村嶋祝人 【読切】 ウィッチクラフト≠マレフィキウム 空木春宵 さいはての実るころ 川野芽生 一等星かく輝けり 倉知 淳 天地揺らぐ 戸田義長 無常商店街 酉島伝法 曼珠沙華忌 弥生小夜子 431秒後の殺人 床品美帆 沈黙のねうち S・チョウイー・ルウ 勝山海百合 訳 新世界(ニュー・ワールド) パトリック・ネス 樋渡正人 訳 『旅書簡集 ゆきあってしあさって』刊行告知 高山羽根子・酉島伝法・倉田タカシ 【ESSAY】 乱視読者の読んだり見たり 第1回 続いている小説と映画 若島 正 ホームズ書録 全く未知の「ミス・ホームズ捕物帖」 北原尚彦 【COLUMN】 ひみつのおやつ*アイスクリーム 降田 天 私の必需品*ウェットティッシュ 河野 裕 【INTERVIEW 期待の新人】 犬飼ねこそぎ 新名 智 【INTERVIEW 注目の新刊】 『トリカゴ』 辻堂ゆめ 【追悼・松坂 健】 小山 正・新保博久・白井久明・戸川安宣 【BOOKREVIEW】 [文芸全般] 瀧井朝世 [国内ミステリ] 宇田川拓也 [翻訳ミステリ] 村上貴史 [SF] 渡邊利道 [ファンタジイ] 三村美衣
スピリチュアルと科学が逆転した、 心の絆が生み出すユートピア・ニッポン! 平熱は38度で、病気の原因はクスリを飲むこと。 お祈りですべての病気を治す世界で繰り広げられる、 誰もが幸せなディストピア。 『皆勤の徒』『宿借りの星』で日本SF大賞を2度受賞した 期待の星による、連作小説集。 結婚式場に勤める土屋は、38度の熱が続いていた。 解熱剤を飲もうとすると妻の真弓に「免疫力の気持ち、なぜ考えてあげない」と責められる。 ……「三十八度通り」 真弓の母は、全身が末期の蟠りで病院のベッドに横になっていた。 すぐに退院させられ、今後はそれを「るん(笑)」と呼ぶ治療法を始めることになる。 ……「千羽びらき」 真弓の甥の真は、近くの山が昔の地図にはないと知り、登りはじめた。 山頂付近で、かわいい新生物を発見する。それは、いまは存在しないネコかもしれなかった。 ……「猫の舌と宇宙耳」 【著者略歴】 酉島伝法(とりしま・でんぽう) 1970年、大阪府生まれ。作家、イラストレーター。 2011年、「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞し、 13年刊行の作品集『皆勤の徒』で第34回日本SF大賞を受賞。 19年刊行の第一長編『宿借りの星』で第40回日本SF大賞を受賞。 他の著書に『オクトローグ 酉島伝法作品集成』がある。
デビュー以来発表した『皆勤の徒』『宿借りの星』の2冊でともに日本SF大賞を受賞した圧倒的才能による作品集。ある異常な刑罰にかけられた男を描く「環刑錮」、人類の異星探査を惑星生物側の視点で綴る「ブロッコリー神殿」ほか、書き下ろしを含む全8篇。
創元SF短編賞正賞・優秀賞(佳作)受賞者が勢揃い。〈宇宙編〉では高山羽根子(第一回佳作)、酉島伝法(第二回正賞)、理山貞二(第三回正賞)、オキシタケヒコ(第三回優秀賞)、宮西建礼(第四回正賞)、宮澤伊織(第六回正賞)の六名が競演。遙か彼方の惑星で繁栄する摩訶不思議な生態系、航行中の宇宙船で起こる連続殺人、奇妙な異星人たちとの行商遠征ーー“東京創元社生まれ”の気鋭・新鋭作家たちが贈るアンソロジー。
その惑星では、かつて人類を滅ぼした異形の殺戮生物たちが、縄張りのような国を築いて暮らしていた。罪を犯して祖国を追われたマガンダラは、放浪の末に辿り着いた土地で、滅ぼしたはずの“人間”たちによる壮大かつ恐ろしい企みを知る。それは惑星の運命を揺るがしかねないものだった。マガンダラは異種族の道連れとともに、戻ったら即処刑と言い渡されている祖国への潜入を試みる。『皆勤の徒』の著者、初長編。
高さ100メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上とそれを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、日々の勤めは平穏ではないー第2回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全4編。奇怪な造語に彩られた異形の未来が読者の前に立ち現れる。日本SF大賞受賞作、待望の文庫化。
百メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではないー第二回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全四編。連作を経るうちに、驚くべき遠未来世界が読者の前に立ち現れる。現代SFの到達点にして、世界水準の傑作。