著者 : 釣巻礼公
午前五時五十七分、小田原発東京行普通電車。いつもの通勤電車に乗り合わせる四人の男女。殺したい男がいた。憎悪を抱いた女がいた。恐喝を決意した女がいた。女を狙う男がいた。毎朝、同じ時刻、同じ車両に乗り合わせる気づかない他人…「殺したい!」通勤電車の中で、そう思ったことはありますか?人間のエゴと欲望が剥き出しの空間で、見知らぬ四人が決意した行動とは-。
中学校のカウンセラー・棟谷志保子あてに、“大石和哉を知っているか?”という謎のメッセージ。発信人は、死んだはずの女生徒・新庄朋恵。大石は志保子の婚約者だったが、生徒に刺殺された。やがて、文化祭に出品する立体モザイク『隧道の中の悪魔』の傍に、“新庄朋恵は私が殺した”という遺書を持つ大河原杏子の死体が…。モザイクに描かれていた五個の人面図が、奇妙なことに四個に…。死体が発見された体育館は、完全な密室状態。志保子を襲う三人の男子生徒。MGの小部屋とは?消えた人面の謎が解き明かされたとき、戦慄の事実が…。奇想天外、新機軸の密室ミステリー傑作長編。
プロ棋士への夢を目前に謎の死を遂げた姉。事件の真相を探るために弘子は姉と同じ道を志し、昇段をかけたリーグ戦に挑むが…。弘子との対局直前に天才小学生・千堂将が会場のトイレで殺される。現場には彼が得意とする戦法を記した棋譜がばらまかれていた。犯人の目的は?二つの事件のつながりは?姉と深い仲にあった男、K・Fとは?混乱する弘子。そして新たな犠牲者が同じ手口で…。
次世代電子機器を飛躍的に小型軽量化するプロジェクトのデモ(評価会)当日、ロボットが暴走、死者が…究明調査を行なう若手技術者の堀川俊介は、衆人環視のなかでの密室殺人の疑いを抱く。彼の心には、昔、大地震に襲われたさい、少女を見捨てて逃げたトラウマがあった。一方、幼いころの記憶を失っている葛城翔子は、同棲相手の柳瀬昇の行動に不安と不審を感じていた。柳瀬は、堀河らが進める開発にスタッフとして参加していた…。禍々しく錯綜した人間関係を背景に、最先端技術の開発を巡り、技術者同士のプライドを賭けた凄まじい角逐が織りなす、著者渾身の書下ろし企業ミステリー。
中堅自動車会社の品質調査員・森崎邦男の目前で、婚約者・真由美の車が駐車場から転落、彼女と胎児は惨死。直後、傷心の森崎に友人の永沢が示した、駆動系の電子制御ユニット不具合のデータ。森崎はユニット製作会社のアブテックへ飛ぶ。その矢先、同社の瀬田課長が阿武隈峠から車ごと転落死。部長の真島も東北道で事故死する。森崎はアブテックの戸辺栞と共同調査に乗り出した。栞のパソコンに現われた奇怪な文章。十九歳の女性エンジニア・鞠子の奇妙な過去。しだいに明かされる一連の事故の背景。だがそのとき、栞の身には危機が迫っていた。
中学生-大人と子供の間羽化を待つ蛹。小説現代推理新人賞作家・釣巻礼公が、今まで誰にも書かれなかった思春期の神秘を描く本格推理長編第一作!名門・岩清水中学の将棋部部室で副部長の小雪が殺された。死体の両耳は無惨にも切りとられていた。小雪が残した詰め将棋に隠されたメッセージを手掛かりに、ノホホン少女・九十九桂が事件に挑む。しかし、またしても女子部員が第二の犠牲者に。今度は舌を切りとられて…。彼女には『援助交際』の噂があった。やがて、犯人の魔の手は桂にも襲いかかる。大人と子供の間の『蛹』の季節を生きる中学生。成長、いじめ、自殺そして援助交際といった、様々な問題に不安と戸惑いを感じながらも彼等は「負けるもんか」と事件に立ち向かう。