著者 : 響野夏菜
二十六歳の青年・瀬山冬は、幼い頃から他人には見えないものが見えたために人間関係を上手く築けず、勤め先が倒産してからは引き籠もっていた。 貯金も尽き家賃も払えなくなっていたところ、人材派遣会社を経営する羽塔花澄という謎めいた女に、 死者の霊がいる家に住んで「死の瞬間」を報告する仕事を押しつけられる。 もとの部屋は勝手に引き払われ、断れない状況で……? 部屋にいたのは刺殺された若い女の霊だった。 冬の存在に気付いた霊は白恵と名乗り、恋人だった男に刺されたのだと言うけれど、妙に明るいテンションで冬に絡み始めて……?(第1話『めぞん市場202号室』) 新しく用意されたのは、一面にブルーシートが張り巡らされた部屋だった。 おどおどとしたやたらと腰の低い30代の女性の霊が住みついており……?(第2話『あぐみ荘1A室』) 部屋に迷い込んできたのは幼稚園児くらいの小さな少女の霊だった。 少女は母親を探しているようで、つい声をかけてしまった冬を頼ってきて……?(第3話『よいももにやどの精霊』) 5年ほど空き家だったという一軒家には、四人以上の霊が住みつき、さらに危険なものまでがいるようだった。 冬はこれまでにない危機感を覚えるが……?(第4話『坂の上3丁目 1972番地』)
人生の「酔」を凝縮した日本酒短編小説集。 山梨出身ワイン好き女子VS新潟出身日本酒好き男子の川中島合戦開幕!?(桑原水菜) 日本酒好きな「桜の神様」(スマホ在住)の我が儘に振り回される女子の大奮闘?(前田珠子) 「俺が好みそうな酒を持ってこい!」という日本酒好きな父の無茶振りに娘は…(響野夏菜) 近所の居酒屋で酔いつぶれた謎の女を拾う羽目になった男は…(山本瑤) 高校時代の女友達と飲んでいたらあれよあれよといううちに良からぬ扉が開いて?(丸木文華) あだ名は『鋼鉄女子』。大学の事務室で働くカタブツ女子が出逢った国文科教授は無類の酒好きで!?(相川真) この世の酸いも甘い辛いも、すべて醸せばこんなに美味しい。飲める人も飲まない人もあったまる、日本酒短編小説全6編。
遺言代行業を営む藤川家に、離婚した際に十遠を捨てた父親が訪ねてきた。父を恨んでいたはずの十遠だったが、七重の心配をよそに頻繁に会いたがるようになって──。堂々の最終巻!(解説/佐川光晴)
花屋で働く永山緋桜乃は、もと極道の祖父が立ち上げた会社「NDY(なんでも屋)企画」の仕事も手伝う。ある日、訳ありそうな女性・ありさに遭遇するが、彼女はDVをくり返す恋人から逃げてきたようで──?
藤川家の三つ子・九重に彼女ができた。直後、藤川家に激震が訪れる──。遺言代行業の方は、依頼者が小学生の女の子やまじめな中年男性など謎に満ちたものばかり。絶好調の第3弾!(解説/吉田伸子)
極道だった実家のせいで、彼氏も仕事も長続きしない緋桜乃は、現在花屋のアルバイト。そこに整った顔に銀縁メガネをかけた男性客が現れた。祖父が義理と人情を守るため、東京下町に立ち上げた会社「NDY企画」への帰還の合図だ。いやいや帰った緋桜乃は、唐突な見合いを強要された上、結婚詐欺の被害者を救済しろと言われてー!?義理と人情の下町事件簿!
依頼人の遺言を死後に叶える「遺言代行業」を営む藤川家。男女七人きょうだいが暮らす家に、祖母スナがやってくる。傍若無人に振る舞うスナに辟易し、早く帰って欲しいと願うきょうだいたちだが、スナは代行を依頼すると言って居座り続ける。他の依頼人の遺言内容にズケズケと無神経な発言を繰り返すスナの遺言とは…?人と人との絆、心に秘めた想いを描く、静かな感動と癒しの物語。