著者 : 高山由紀子
日本橋で4代続いた唐物屋「西湖堂」のひとり娘・小夜は、店の再興を願い、かつて家を裏切った丈四郎の「玉寶堂」の門を叩いた。商売を教えてほしいと、ひと月通い、ようやく小夜に与えられた仕事は、死者の遺品を選別する「かたみ仕舞い」だったー。浅草の髢屋の大女将・千代の遺品を整理するため、「菱屋」を訪ねた小夜は、そこで、不自然な長さの刀剣を見つける。小夜は、その剣に他の遺品にない千代の想いを感じるが…。
吉原の駒屋の遊女・小梅が、代筆人の雪乃を訪ねてきた。姉に反物を送る添え書きを頼みに来たのだった。だがその翌日、小梅が何者かに殺されたのを同心の岡島から聞かされる雪乃。小梅を吉原に連れてきた女衒の銀次が絡んでいるのか。さらに、気落ちする雪乃に、小梅からの風呂敷包みが届けられるがー。小梅の包みを巡り、暗躍する者たち。花魁でくノ一の丸山、修験崩れの翔英らの宿命の糸を雪乃が紡ぐ。書き下ろし時代小説。
吉原の代筆人として遊女のために恋文を綴る雪乃は、角町の貞女という遊女から、十両もの大金をある所に送ってほしいと頼まれる。お金にかかわることを家人に禁じられていた雪乃だったが、貞女の涙に心を動かされ、引き受けることに。だが、二日後貞女が足抜けの末、何者かに殺されたとの知らせがー。一方、太神楽の舞姫を表の貌とする、くノ一の丸山は、貞女の死の背後にある陰謀を探ろうとしていた…。書き下ろし長篇。
もしも生きているのなら、死んだはずの夫に一目会いたい。ただそれだけを望む雪乃だったが吉原花魁道中の豪奢な衣装にからんだ禁制品の摘発を進める幕府と、大がかりな密貿易組織との抗争に巻き込まれ、命を狙われることに。背後ですべての糸を引くのは敵か味方か?やがてたった一つ残された、夫の形見の観音像が、思わぬ運命へと雪乃を導いていくー。すべての謎が解き明かされる、書き下ろし人気長編シリーズ第3弾。
江戸吉原の代筆人として遊女のために恋文を綴る雪乃は、火事で最愛の夫を失った過去を持つ。あれは本当に単なる物盗りの犯行だったのか?真相を探る雪乃の周囲で次々に不可解な事件が起こり、ついに最後の頼みの綱である、事件の鍵を握る染之助の行方を知る遊女が首を括った死体で発見されるー。苛酷な人生と向き合い、したたかにみだれ咲く遊女たちに助けられ、真実に迫る雪乃の姿を描く、大人気謎解き時代長編第2弾!
消えた男の行方を追って吉原にたどりついた雪乃。ぷっつり切れた消息の糸を掴むために吉原で生きることに決めた彼女は、読み書きのできない遊女にかわり手紙を綴る代筆屋を手伝うことになる。だましだまされる客と遊女。手紙の秘密をただ一人知る仕事ゆえ、雪乃は図らずも様々な事件に巻き込まれてしまう。咲き乱れる色もように真実はあるのか。女たちの本当の生きざまとは?異色の代筆人が大活躍!時代小説新シリーズ。
本書は、信仰と戦争のはざ間でゆれ動く争麟を、キリシタン宣教師との信仰問答や宮司の娘で妻の玉依との確執をからませつつ、宗麟の謎を一枚ずつはぎ取っていく。『国東物語ドン・フランシスコ・大友宗麟』の続編。