著者 : 高柳芳夫
京都3大祭りのひとつ、時代祭りの行列の中にヒロインの巴御前に扮した広川雪江がいた。雪江は東京・調布にある音楽大の学生で、3人の学友と家族、それに大学の講師で推理作家でもある朝見大介の目前にきて、ハンケチをふった。ところがその直後に落馬してしまった。30分後、「ハハガ…ハラガ…」の謎のメッセージを残したまま雪江は死んだ。大観衆とカメラの放列の見守るなかで、なぜどうやって雪江は殺されたのか?教え子の死の謎に敢然と立ちあがった朝見大介だったが…。書下し本格推理シリーズ第3弾。
「あなたには死相が見える。自ら死に赴く者を救えば、あなたも救われる」京都を訪れた折、占い師から告げられた予言どおり、氷川隆也は、相模湖で身投げした絶世美女を救った。やがて彼女を愛し始めた氷川は、悪妻京子の殺害を企てたが、計画は失敗に終わった。ところがその後、京子は大阪・道頓堀で何者かに毒殺された。だが、隆也をはじめ、殺害動機を持つ者たちには鉄壁のアリバイがあった…。古都の四季を背景に、驚くべきトリックを駆使して描く本格推理の傑作。
“非核三原則”は実効されているのだろうか?日米間に核をめぐる密約が存在するとすれば…。日米安保体制の根幹を揺さぶる。わが国の防衛を考える衝撃の問題作。
推理作家の朝見は、自作の映画化に立合うため、ロケ現場の法隆寺を訪れた。女優・薬丸淳子は熱のこもった演技で短剣を胸に突きたてた。ところが小道具の短剣は本物で危うく命を落としかける。薬丸と朝見は犯人を追及するうち恋に堕ちるが、その眼前で次々と奇怪な殺人が…。しかもその殺人は朝見の作品そのままに、なおかつ作品を上回るトリックと謎を秘めていた!奈良-和歌山-東京を結ぶ殺意の延長線上に浮かんだアイドル歌手・岡村有香の飛び降り自殺。殺人者の死を賭した挑戦とトリックの暗示するものとは…。
古びた洋館の一室、正装に身を包み大量の花の中に横たわって死んでいたのはこの館の主人で醜い容姿のために同僚たちから蔑まれ疎外されてきた男だった。まもなく復讐を告げる手紙が同僚たちに届き、彼らは次々に無残な死を遂げてゆく。そして「死者による殺人」という奇怪な事態の背後にはさらに陰惨で恐るべき真相が-。人の心の闇の部分を鋭く衝く、戦慄の書下ろし本格推理。
西ドイツの首府ボンで日本人女性の変死体が発見された。女性は元オペラ歌手・両角佐枝子。ボン警察は自殺と断定するが、身許調査に立会った日本大使館二等書記官草葉宗平は不審を抱く。彼女が訪ねた音大の講師ハウザーも、1カ月前謎の死をとげているのだ。佐枝子の娘も5年前、留学先のミュンヘンで自殺。草葉は単身事件解明に乗りだした。「浴室の告発」ほか、海外を舞台にした本格サスペンス連作。