著者 : 高畠寛
焼け跡の青空焼け跡の青空
焼け跡の上にひろがっていた広大な青空…煙の都でもあった大阪、その市街80パーセントが焼け野原となり、邦夫はそこで小学生時代を送った。その青空は違った見方をすれば希望でもあった。少年たちの物語。人々の記憶を呼び起こす、大阪・焼け跡三部作。
山崎の鬼山崎の鬼
とがった屋根が峰のようにいくつもあり…大きな裳階屋根がそう見せているらしく、それが一部四階のように見えた…屋根には三角窓があり、屋根裏部屋がある。角度を変えて近づくにつれ、形の変わった窓や大小のベランダが現れたり消えたりし、屋敷にはまだ煙突やら小さなたくさんの裳階屋根やら彫刻やらさまざまな出っぱりがあって、建物を複雑にしていた。「山崎の鬼」より。代表的作品を収めるアンソロジー。
神々の黄昏神々の黄昏
失踪した女友達の夫が残した「神神の黄昏」と書かれたノート。そこには「沈黙の島」硫黄島守備隊二万一千人から、米軍に救い出された生き残り一千名のうちの一人であることが綴られていた。この硫黄島の徹底した抵抗がもたらしたものは何であったか。表題作他三編を収録。
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