著者 : 麻宮ゆり子
オリンピックまであと2年、昭和37年の東京。17歳の郷子は、集団就職で2年前に上京したものの、劣悪な労働環境から工場を逃亡した。そのまま上野駅でうろうろしていたところを、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・淑子に拾われ、そこで働くことに。工場での食事のトラウマからずっと食べられなかったカレー、初体験!揚げたて熱々カツサンド、心に沁みわたる感動のプリン…。美味しくて温もりあふれる絶品料理と人びとに出会い、郷子は新しい“家族”と“居場所”を見つけていく。17歳の少女の上京物語。
裏の顔を持つ住宅メーカー総務部長、2トントラックを乗りこなす宅配ドライバー、逃げた夫に代わり経営者となった清掃会社社長、“敏感すぎるセンサー”に悩むパン屋アルバイトー頑張りすぎるあなたの背中をやさしく撫でる、新時代お仕事小説。
浪人時代の交通事故や不本意な進学など屈託を抱える大学生・雪嶋直久。唯一の心の支えは仏像だった。ある日、アルバイト募集を見かけて踏み込んだ仏像修復の世界。修復師の門真と過ごす日々の中、その作業の困難さと大好きな仏像のより深い魅力を知る。そして積み重なる出会いは、雪嶋の凝った心を解きほぐしていき…。仏像に魅了された人々の再生と成長の物語。
真面目さゆえに他人に振り回されがちな真島。バツイチの冴えない研究者、繁田。彼女のキツイ束縛に悩む、愛想のよさが取り柄の仲杉。少し変わり者の超絶イケメン、斎木。友人でなく、仲良しでもないのに、なぜか一緒に旅に出る四人。その先で待つ、それぞれの再会、別れ、奇跡。他人の事情に踏み込みすぎない男たちの、つかず離れずな距離感が心地好い連作短編集!
浪人時代に交通事故に遭い、大手術とリハビリ生活を余儀なくされた雪嶋直久。家族関係に鬱屈していた彼は、東京を離れ、京都の冥王大学へ入学。仏像修復師・門真のもとでアルバイトを始める。地味ながらも奥深い作業に次第に引き込まれてゆく雪嶋。だが、作業場にたまに姿を現す、門真の従姉妹・もえ美のことはあまりいけ好かない。そんなある日、門真から、腕を七本も失くした謎の仏像を見せられる。その正体を探るべく、大学の「のんびり仏像めぐり研究会」を訪れた雪嶋は、天真爛漫な部長・今岡と、金髪のイケメン宇田に出会いー。