著者 : 黒木久勝
奸臣を渾身の芝居で討ち果たし、晴れて辻ヶ浦藩五万石の若君として迎えられた恋之介。一方、看板役者を失った揚羽座は不入りが続き、弟子の剣豪、堅四郎は師の幸せを祈りつつも寂しさを隠しきれない。そして、同じく恋之介の不在に耐える雪ノ丞に邪悪な魔の手が忍び寄るーままならなくも愛しい人生の哀歓を描く傑作時代小説、堂々の千秋楽!!
人気はあれど金はない揚羽座が満を持して挑んだ『石川五右衛門』の舞台初日。弟子の剣豪、堅四郎のしくじりにも動ぜず熱演する看板役者の恋之介だったが、突如殴り込んできたやくざ者と乱闘になり、無念の休座に追い込まれてしまう。なんとか修理代を稼ごうと女客相手の怪しげな見世「おひげ茶屋」で働き出した恋之介らに、不気味な影が忍び寄る。書き下ろしシリーズ第三弾!
天才役者、揚羽恋之介と弟子の剣豪、烏森堅四郎の体を張った階段落ちで大人気となった揚羽座。だが、移り気な江戸っ子にすぐに飽きられ、犬が演じる忠臣蔵、その名も『忠犬蔵』に客を奪われる。荒れる恋之介に尽くす堅四郎だったが、ある夜、舞台で失敗した犬の五郎丸が座頭に折檻される場面に遭遇。思わず五郎丸を逃がしたことで、犬遣いの紅小町がほおずき長屋に乗り込んでくる。期待の新シリーズ第二弾!
観る者すべてを虜にする天才役者、揚羽恋之介と、見る者すべてを震え上がらせる剣豪、烏森堅四郎。正反対にもほどがある二人が人生舞台で出会ってしまった。芸に惚れ込み押し掛け弟子になった堅四郎を、今日もしごき倒す恋之介。『大江戸小芝居祭』で“大階段落ち”を披露すべく熱い稽古に励む凸凹師弟の前で、血腥い殺しが立て続けに起きる。期待のシリーズ第一弾!
最愛のひとは、父の仇だったー吉原での香競べの帰途、秘蔵の伽羅・黒影夜叉を狙って襲ってきた長谷川一馬と対決し、斬られたおりん。絶体絶命のところで真木野左内に救われるも、薄れゆく意識の中で嗅いだ左内の匂いは、おりんに残酷な事実を突き付けた。追い打ちをかけるように、突如おりんの目が見えなくなる。一方、市中では凶悪な企みが着々と進んでいた。江戸が香るシリーズ、完結!書き下ろし長編時代小説。
丁子屋宗主、宗十郎が京から江戸に現れた。亡き父仙三郎をよく知っていると話す宗十郎に警戒感を抱くおりん。一方、同心見習いの源吾は、おりん襲撃に丁子屋が絡んでいるのを突き止めた矢先、曲者に斬られてしまう。おりんは怒りと不安のなか、吉原で丁子屋との香競べに挑む。同席した宗十郎と水戸徳川家の家老、武常重道は、おりんが庭から掘り出した伽羅を見て目の色を変える。江戸が香る話題の書き下ろし第三弾。
父の遺した看板線香ほの香の再現に成功した芳楽堂おりんだが、客足は戻らぬまま。一念発起して口臭消しの飴を考案し吉原に売り込む懸命な姿に、美しき子持ち花魁桃里が目を留める。桃里はおりんを廓へと招き、自分が桃の香を放つ身体であること、さらに意外な胸中を明かす。飴は大当たりするも、その喜びも束の間、芳楽堂周辺で不気味な嫌がらせが相次ぐ。江戸が香る話題の書き下ろし第二弾。
香木屋芳楽堂の一人娘おりんは、旗本出身の香師である父仙三郎の情愛を一身に受け美しく育つ。線香ほの香が大当たりし、江戸香の名店と謳われていた芳楽堂だったが、大晦日の夜に賊に入られ、代々伝わる秘蔵の伽羅「白浪菩薩」ばかりか仙三郎の命まで奪われてしまう。手の平を返すように冷たくなる世間に打ちひしがれるおりん。だが、持ち前の負けん気と卓抜した嗅覚を頼みに店の再興、そして父の仇討ちに立ち上がる。期待の新シリーズ、始動!
揚羽座に格上の花村座の花形役者、春牡丹寒次郎が訪ねてくる。曰くつきの芝居『情女濡色鐘』再演直前に脅し文が届き、座員が次々と怪死を遂げているというのだ。花村座の危機を救ってほしいと懇願する寒次郎に、恋之介は「酒と豪華弁当と広い楽屋」の破格の条件を呑ませ、魔の桧舞台に上がることに。弟子の“鬼がらす”堅四郎は剛剣で師を守り抜けるか。ドラマ『猫侍』で注目の黒木久勝が放つ痛快新シリーズ第二弾!
本所のボロ長屋で不遇をかこつ剣豪「鬼がらす」こと烏森堅四郎の隣に、花形役者の揚羽恋之介が越してきた。長屋の女たちを目で殺す恋之介に猛反発する堅四郎。だが、否応なく観に行かされた恋之介の芝居に大感激し、一転弟子入りを志願する。国惑する恋之介は無理難題をふっかけるがー!?前代未聞の凸凹師弟が、お江戸の難事件を鮮やかに解決!ドラマ『猫侍』で注目の黒木久勝が放つ痛快デビュー作。