ジャンル : ミステリー・サスペンス
どんな紙でも見分けられる男・渡部の紙鑑定事務所には今日も、紙にまつわる一風変わった依頼が舞い込む。紙粘土のようなものをぶつけられて怪我をした野良猫たち。漫画の単行本を「不良品だ」と言って、心を閉ざす少年。そして、凶器が消えた奇妙な殺人事件ー。プラモデル造形家・土生井やフィギュア作家・團の知識を借りながら、渡部は複雑な謎を解決していくが…。紙・フィギュア・アメコミ・印刷・コスプレなどさまざまな分野の蘊蓄を詰め込んだ、全三作の連作短編集!
第一話「しゃくぜん」釈放前の更生プログラムに参加した模範囚が、外出先で姿を消した。発見されるまでの「空白の30分」で何が起きたのか?第二話「甘シャリ」刑務所内で行われた運動会の翌日、集団食中毒事件が発生。これは故意の犯行なのか。炊事係の受刑者が容疑者に浮上するが…。第三話「赤犬」古い備品保管庫で原因不明の火災が起きた。火の気もなく、人の出入りもなかったはずの密室でいったいどうして?第四話「がて」窃盗の常習犯である受刑者の心の拠り所は、あるジャズシンガーとの文通。しかし、その女性は実在していなかったー。第五話「チンコロ」「また殺される」と書かれた匿名の投書が刑務所に届く。差出人は元受刑者か。そして、投書に隠された意味とは?骨太の人間ドラマ×驚愕の刑務所ミステリー。
民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。相対する警視庁科捜研との火花が散る中、裁判の行く末はーー驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!
特許権を盾に企業から巨額の賠償金をふんだくっていた凄腕の女性弁理士・大鳳未来が、相方の弁護士と共に防衛専門の特許法律事務所を立ち上げた。今回のクライアントは、映像技術の特許権侵害を警告され、活動休止を迫られる人気VTuber・天ノ川トリィ。調査に乗り出した未来は、さまざまな企業の思惑が絡んでいることに気づき、いちかばちかの秘策に…!2022年第20回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。
2016年11月。盲目ながら2010年のショパン・コンクールで2位に入賞したピアニスト・榊場隆平は、クラシック界の話題を独占し人気を集めていた。そんなある日、「榊場の盲目は芝居ではないか」と絡むフリーライター・寺下が何者かに銃殺される。事件は深夜、明かりの消えた室内で起きた。そんな状況下で殺人ができるのは、生来暗闇の中で暮らしてきた榊場だけだと警察は疑わない。窮地に追いやられた榊場だったが、彼のもとに、榊場と同様ショパン・コンクールのファイナリストに名を連ねたあの男が駆けつけるー!
ヌーディスト法が施行されて一年がたつ。人々の価値観が多様化してついに日本は、全裸生活を認めることとなった。反対勢力も強く、国会は揉めに揉めたがヌーディスト派である時の総理大臣が「全裸は究極のエコだ」と意味不明な理屈でごり押しして、彼は生まれたままの姿でヌーディスト法の施行を高らかに宣言したのである。それは警視庁も例外ではなく、全国初の全裸刑事が登場したー。警部・茶理太郎、通称チャーリー。捜査一課強行犯第5係に属する全裸刑事が、事件を鮮やかに解決する!書き下ろし含む、七尾ワールドが炸裂する全15編。
宮村は店舗設計を任されているコルバカフェのオーナー神谷から龍神池近くの別荘にコルバカフェの社員たちと共に招待される。しかし、道路に繋がる吊り橋が斜面の崩落によって落ちてしまう。山道を迂回すれば戻ることが出来ることから落ち着いていた一同だが、深夜密室状態の部屋で神谷が殺されていた。
私立の名門大学のサークル「ヒートウェーブ」の新歓コンパで悲劇が起きる。無理矢理飲まされ続けていた新入生の諸井保が、急性アルコール中毒で死亡してしまった。これからのキャリアを考えたメンバー達は、保身のために死因を偽装する。事件の記憶が薄れかけた一年後、案内状が届く。保の実家である寺で、一周忌法要を行うというのだ。罪悪感に苛まれていたメンバーは、けじめをつけるため出席することにした。そこに地獄が待っているとは知らずに…。
観測史上二番目の暴風が関東に上陸した夜、冠水した駐車場で車の下に入りこんだ年輩女性が死亡した。行政解剖の結果は「事件性はなし」。だが、救助に出場していた本田消防署上平井出張所に所属する大山雄大は、喪服の老人から「何をどうしたって助けられなかった」という言葉を残される。不審を抱いた大山は、謎の言葉の真意を探ろうと老人を追うが、その正体は驚くべきものだったー。大人気消防ミステリー第4弾!
旅と人生社の藤原冬美は関修次郎と組み東北地方への取材旅行に向かった。二人は東武鉄道の特急「リバティ会津111号」の車中で平川敏生と遭遇した。この日、上野駅に到着した東北新幹線「なすの270号」の車内でキャリア官僚の土屋健治郎の遺体が発見された。容疑者として平川が浮上するが、決定的証拠を見いだせなかった十津川だが…!?
女子大生・神尾容子は八戸の蕪島で、奇妙な唄を口ずさむお遍路とすれ違う。数日後、お遍路らしき絞殺死体が「ピラミッド」へつづく山道で発見された。同じ頃、古文書『都賀留三郡史』真贋論争の取材で、ルポライター浅見光彦は青森県を訪れる。大和朝廷以前、津軽に王朝が存在したと記す三郡史を発見した神社の宮司は史実と主張。かたや偽書だとする人々の相次ぐ不審死に遭遇する光彦。これはアラハバキ神の祟りなのか!?それとも…。
わたしは中国の女スパイーノンキャリア公務員の並木は、恋人から告白される。狙われた理由は、上司から預かった中国語の原稿。両国組織を欺くために、ふたりは同棲を始めるが…。警視庁公安部から地下鉄で追尾され、中国の国家安全部からは拉致される。何が真実で、誰を信じればいいのか?実力派作家が放つ、大人のサスペンス。極上のビターがここにある。
新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅勤務となったあなた。実は…(「二週間後の未来」)。ひとりの男の死を巡り、各々が知っていることを話すのだが…(「俺の話を聞け」)。財布を取り戻してくれた女性に、あたしは良い機会だと話しかけるが…(「それは財布からはじまった」)。友人の結婚式で新婦が逃走。なぜそうなったのか気になった僕は…(「きみのための探偵」)。「俺の話を聞け」-その後どうなったのか。真実がここに(「真実」)。この世の中をいち早く描いたミステリ「二週間後の未来」ほか、どんでん返しを含む、ドライでダークでアイロニカルなミステリ集。
竹から生まれたかぐや姫。竹取のシゲと幸せに暮らしていましたが、ある日シゲの子分であるヤスの家から出火し、焼け跡からヤスが刺殺体で見つかりました…(「竹取探偵物語」)。怠け者のくせに欲張りな惣七じいさん。米八じいさんが金銀財宝をもらった話を聞き、自分もねずみの穴に転がっていきますが、何回も何回もループして…(「七回目のおむすびころりん」)。暮らしに絶望していた半太。観音様のお告げで、1本のわらしべを手に西に向かい、出会う人々と物々交換をしますが、その人々はある事情を抱えていたのです…(「わらしべ多重殺人」)。あまりにも有名な猿と蟹の戦い。いじわるな猿が蟹に柿の実を投げ付け蟹は死んでしまいますが、実はこの話、とんでもない真相があったのです…(「真相・猿蟹合戦」)。茶釜に化けて、アクロバティックな演技を披露する狸の茶太郎。この茶太郎、「かちかち山」でうさぎに火をつけられた狸と兄弟だったことはご存じでしょうか…(「猿六とぶんぶく交換犯罪」)。昔ばなし×ミステリ第2弾!今回も、読めば必ず誰かに話したくなる、驚き5連続の短編集。
正義感の強い青年・工藤秀吾は、北海道の港町で行われる水産加工の夏季限定アルバイトに参加した。集まった6人の男女とともに、宿舎で寝食を共にしながら、大量の魚を捌く日々。そんなある日、アルバイトのリーダー格の男が遺体となって見つかる。通報しようとした工藤に「警察を呼ばないで」と懇願し、携帯電話を奪ったのは、最年少アルバイトの佐藤真里だった。工藤は他のバイト仲間に通報を求めるが、誰も自ら警察を呼ぼうとしない。死んだ男の荷物から脅迫状が見つかってもなお、まともに取り合おうとしない。この宿舎にいる者達には、それぞれひた隠しにしている秘密があるようで…?息もつかせぬ展開が待ち受ける、著者渾身の衝撃作!
正義か?出世か?愛娘か?がんじがらめの刑事、極限の選択。強盗を取り逃がしたうえに、娘は家出。さらには警官殺しと内部の不正に対峙することに。このダイ・ハードな刑事の生き様が、最後の1行まで熱く、心に刺さる。
夫と義母を殺した罪で、懲役10年の判決を受けた茅野春子。「多重介護殺人事件」として知られるこの悲劇に意外すぎる真相が?(「妻の罪状」)介護、遺産相続、8050問題、終活、夫婦別姓など、今日的な7つの問題をテーマに名手があざやかに描く、ミステリ短編集。変転する家族それぞれの心の機微が行きつく先にあるものとは…結末まで目が離せない!
山田川村・津々井法律事務所に勤める美馬玉子。事務所の一年先輩である剣持麗子に苦手意識を持ちながらも、コンビを組むことになってしまう。二人は、「会社を倒産に導く女」と内部通報されたゴーラム商会経理課・近藤まりあの身辺調査を行うことになった。ブランド品に身を包み、身の丈に合わない生活をSNSに投稿している近藤は、会社の金を横領しているのではないか?しかしその手口とは?ところが調査を進めるなか、ゴーラム商会のリストラ勧告で使われてきた「首切り部屋」で、本当に死体を発見することになった彼女たちは、予想外の事件に巻き込まれて…。
プレオープン中に起きた銃乱射事件のため閉園に追い込まれたテーマパーク・イリュジオンランド。廃墟コレクターの資産家・十嶋庵はかつての夢の国を二十年ぶりに解き放つ。狭き門をくぐり抜け、廃遊園地へと招かれた廃墟マニアのコンビニ店員・眞上永太郎を待っていたのは、『このイリュジオンランドは、宝を見つけたものに譲る』という十嶋からの伝言だった。それぞれに因縁を抱えた招待客たちは宝探しをはじめるが、翌朝串刺しになった血まみれの着ぐるみが見つかる。止まらない殺人、見つからない犯人、最後に真実を見つけ出すのは…2021年最注目の俊英による廃墟×本格ミステリ!