小説むすび | 火神子

火神子

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弥生時代、登美毘古が大王に即位して二十年、泰平の世が続いていたある日、実弟・安日彦が変わり果てた姿となり戻ってきた。その夜、矢の雨が長髄の邑を覆い、村人を襲った。敵は「天孫」を称する二十歳の御真木だった。大陸を祖国とする御真木は、この地を征伐し、新たな国を創ろうと殺戮を繰り返していた。登美毘古には一人娘がいた。その名は翡翠命、十五歳。薬師である老人・左慈と共に山奥で暮らす。御真木の悪辣ぶりは隠れ里まで届き、翡翠命は自らの宿命を受け入れ、御真木と対峙する。新しい国王になるため、古い王家の血を絶やすべく、自らの力を過信し殺戮を繰り返す男と、己の弱さを知るが故に弱き者を救い、均しく包摂する少女。王を巡る壮大な物語が今、始まる。

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