せつない嫉妬のほむらに身を灼く光乃。辛抱していればいつか花咲く日もくるかもしれない。女中として仕えながら、端麗この上ない歌舞伎役者、のちの十一代目松川玄十郎に寄せる献身と苦悶。
たったひとりで主の子を産んだ光乃。一生かげの人間でいいんです。歌舞伎界不世出の名優、十一代目・松川玄十郎との宿縁に、つつましくも激しく燃え、やがて妻となった60年の忍耐の生涯。 1990/05/01 発売