太宰って、何だろう?あの年の六月、太宰の死の陰に、一人の十五歳の少女がいた。-半世紀の間、息を潜めた『隠れ太宰』だった作者が、いま彼と、祖国の死に熱い涙を注ぐ衝撃の問題小説。
いつでも女の人に甘え、その場をずるく言い逃れ、迷惑という迷惑をかけ通しだった。でも実は、身をよじるようにして、この国と、国民のことを案じていた。十五歳の「私」を見つめる時、まぎれもなく、母にすがる目をしていた。玉川上水に女と身を投げたあの人は…。一人の女生徒が物語る、優しくて汚くて、誇り高くて品がなくて、「無頼派の旗手」と呼ばれた小説家の「死」まで。 2001/07/01 発売