夏の方舟
かつてのクラスメート・黒坂聖が、ある夏、突然、島に帰ってきた。しかし彼は、妖しげな美しさをたたえる女性となっていた…。ノートに記された“決められた運命”を変える夏がはじまる。あの聖が帰ってきた。その瞬間、島に暮らす水無月陸の中にかつての苦い思い出がよみがえり、複雑な欲望が芽生える。あふれ出る激情に駆られ、陸は聖を…(「水の影踏み」)。島を出た聖を追いかけ、東京へむかう陸。たどりついた先で陸が目にした聖の“日常”とは。手に入れたいのは彼なのか、それとも…(「夏の刺青」)ほか、男たちの狂おしくも透明な嫉妬と葛藤を描く、青春小説の新たな金字塔。