ミネルヴァとマルス 上 昭和の妖怪・岸信介
昭和八年(一九三三)。商工省・臨時産業合理局事務官の岸信介は、組織の枠を超えて活躍していた。人当たりがよく、話もうまい。上司にも女にも気に入られる岸は、末は次官や大臣にもなるのではないか、と目されていた。国家運営の根幹は経済であり、列強と対峙していくには武力ではなく経済力が必要だと説く岸は、関東軍が支配する満洲に乗り込み産業発展に邁進、日産コンツェルンの満洲移転という奇手の実現を図る。が、戦争は泥沼化してゆきー。これからの日本を語り合うための歴史ドキュメント小説。
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A級戦犯容疑で投獄されたものの、不起訴処分で巣鴨プリズンから釈放された岸信介。大国のエゴがぶつかり合う戦後世界において、岸は文人政治家として、日米安全保障条約の改定や、自主憲法の制定、二大政党制の実現を目指して動き出す。だがそこには、途方もない困難が立ちはだかる。アメリカの野望。マスメディアの批判。押し寄せるデモ隊。党内外の争い。そして弟・佐藤栄作のもとで勢力を伸ばす田中角栄ー。昭和六十二年、満九十歳でこの世を去るまで政治の表裏に関わり、「昭和の妖怪」と呼ばれた男の波乱の生涯!いまに連なる「昭和」に、何が起きたのか。真の独立国家再建を目指した政治家・岸を通じて描く、渾身の歴史小説! 2019/03/29 発売