インドクリスタル 上
社運を賭け、巨大ビジネスとなる高純度人工水晶開発に取り組む藤岡は、インドのある町から産出された高品質の種水晶を求め現地に向かう。宿泊所で娼婦として遣わされた少女ロサ。彼女は類稀なる知力を持つ不思議な存在で、更に以前地方の村で目撃した「生き神」だった。鉱山からの帰途に遭難した藤岡はロサの能力に助けられるが…。古き因習と最先端ビジネスの狭間で蠢く巨大国家の闇に切り込む、超弩級のビジネスエンタメ。第10回中央公論文芸賞受賞作。
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インドクリスタル 下インドクリスタル 下
山峡ドルジェ社長・藤岡は、開発用水晶をインドの村から入手する手筈を整えたが、やがて納品物の質は落ち、すり替えも発生。 現地に飛んで村組織を問いただすも、採掘に関わる人々に死や病など災いが生じていると突き返され、日本流の交渉が全く通じず難儀する。 かつて「生き神」だった少女ロサと再会するが、彼女は藤岡に負の予言を告げるのだった。「ここの水晶は、掘り出す人にも、持ち出す人にも、持っている人にも、良くないことが起こる」 そして更に事態は悪化。ロサは以前雇い主に「邪な種」と称されていたことを藤岡は思い返す。 州の役人により採掘が禁止され、窮地に陥った藤岡は……。 連続死、監禁と凌辱、反政府集団による襲撃… 「処女神」だった少女の運命は。 とてつもない密度の混沌と耀き 一気読み必至、圧倒的筆力で描く社会派エンタメ超大作! 〈第10回 中央公論文芸賞受賞作〉 解説=温水ゆかり 2018/01/25 発売