第二次大戦下、義兄の弟との不倫に疲れ仏印に渡ったゆき子は、農林研究所員富岡と出会う。様々な出来事を乗り越え、二人は屋久島へと辿り着いたーー。敗戦後、激動の日本で漂うように恋をした男と女の物語。
江戸文学のなごりから離れてようやく新文学創造の機運が高まりはじめた明治二十年に発表されたこの四迷の処女作は、新鮮な言文一致の文章によって当時の人々を驚嘆させた。秀才ではあるが世故にうとい青年官吏内海文三の内面の苦悩を精密に描写して、わが国の知識階級をはじめて人間として造形した『浮雲』は、当時の文壇をはるかに越え、日本近代小説の先駆とされる作品である。 1951/12/18 発売
日本近代文学の祖にして非モテ文学の金字塔、二葉亭四迷『浮雲』の現代語訳版、ここに誕生。 2010/02/28 発売