エミリの小さな包丁(1)
恋人に振られ、職業もお金も居場所もすべてを失ったエミリに救いの手をさしのべてくれたのは、10年以上連絡を取っていなかった母方の祖父だった。人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒しの物語。
プロローグ
第一章 猫になりたい カサゴの味噌汁
第二章 ビーチサンダル アジの水なます
第三章 彼女の毒 サバの炊かず飯
第四章 夜のブランコ チダイの酢〆
第五章 失恋ハイタッチ サワラのマーマレード焼き
第六章 やさしい武器 黒鯛の胡麻だれ茶漬け
エピローグ
文庫版あとがき
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エミリの小さな包丁エミリの小さな包丁
信じていた恋人に振られ、職業もお金も、居場所さえも失った25歳のエミリ。藁をもすがる思いで10年以上連絡を取っていなかった祖父の家へ転がり込む。 心が荒みきっているエミリは、人からの親切を素直に受け入れられない。しかし、淡々と包丁を研ぎ、食事を仕度する祖父の姿を見ているうちに、小さな変化が起こり始める。食に対する姿勢、人との付き合い、もののとらえ方や考え方……。周囲の人たち、そして疎遠だった親との関係を一歩踏み出そうと思い始めるーー。「毎日をきちんと生きる」ことは、人生を大切に歩むこと。人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒しの物語。 2016/04/27 発売