みずもかえでも
写真には、後も先もなく今だけがある。落語好きの父に連れられ寄席に通うなか「演芸写真家」という仕事を知った宮本繭生は、真嶋光一に弟子入りを願い出る。「遅刻をしないこと」「演者に許可なく写真を撮らないこと」を条件に許可されるが、ある日、繭生は高まる衝動を抑えきれず、落語家・楓家みず帆の高座中にシャッターを切ってしまう。繭生は約束を破ったことを隠したまま「演芸写真家」の道を諦める。それから4年、ウェディングフォトスタジオに勤務する繭生の前に現れたのは、あのみず帆だった…。第15回小説野性時代新人賞受賞作!!