小説むすび | 鬼の御伽

鬼の御伽

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赤鬼は指のない右手の平で、桃太郎を弾き飛ばした。背中から地面に激突し、そのまま勢いよく後ろ向きに転がり、やがて仰向けになった。いっしょになって飛ばされたらしく、切断した片方の角が、近くで固い音を立てた。痛みすら感じなかった。肉体はもはや、感覚を失いつつあった。「桃太郎」の凄惨なまでに苛烈な戦いを描いた傑作『パーフェクト太郎』の他、1編を収録。

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