ひとりぼっちのソユーズ 上
「僕」は幼い頃にユーリヤという女の子と出会う。彼女が僕を「スプートニク」と呼んだ日から、僕は彼女の衛星になり、まるで双子のように一緒に過ごす。ユーリヤの夢は宇宙飛行士として月に行くこと。月を目指していたのは、争いや国境のない世界に憧れていたからだ。やがてスプートニクも、宇宙飛行士になって二人で月に立つことを夢見るようになった。だが、小六の頃から、二人の心は離れてしまい、国境線に背を向けるように別々に歩き出した。そして、高校受験を控えた満月の夜ー二人の心はまた通じ合った。この日から、スプートニクの長い旅がはじまる。